死の海からの生還 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
海洋に関する仕事をしているせいか。 漂流、冒険、沈没話は 手に取る機会が多い。 これも 東京海洋大学の図書館で借りて読んだ。 1994年9月27日、ストッホルムへ向けて乗客・乗員989名をのせた船が沈没し852名が死亡行方不明になった。この海難事故を乗り越えた 若き活動家の手による記録である。 この本で 北欧の若者の社会意識の高さ。 極限状況のでの生死をわけることになる判断。 耳目を集めるネタにのみ群がるマスコミの醜さ。 など この海難事故を生き延びるという経験を追体験することができる。 突然 不幸に襲われる可能性があることは地震国 日本でなくても普通にあることである。その突然の事態に遭遇したとき 冷静に 正しく判断することがいかに困難か、そして下した判断が (たとえば 目の前の人を見殺しにしたなど)生き残った人を いかに苦しめるかなど さまざまな事をこの本は教えてくれる。 人の数だけ物語があり、一人の中の物語でさえ、矛盾と相克をはらんでいるのだ。 その矛盾に抗するため 人には寄りかかるもの(仕事や家族)が必要なのである。 読んでみてください。
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