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愛の幻滅(上) の商品レビュー

3.9

18件のお客様レビュー

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2010/08/11

不倫という関係性にもかかわらず、上下巻ともに滑稽なシーンがあったり、躍動というか、主人公がかわいらしく前向きに読めた分、ラストの温度のおちぐあいがなんともいえない。

Posted byブクログ

2010/04/21

「愛の幻滅」は眉子と東野サンの恋のストーリー。 東野サンは気のいい男性、妻子あり。ーー要するに不倫の恋。 だけど、ドロドロの恋愛劇ではなく、あっけらかんとした、 それでいて身を焦がすような切ない恋。 泣き恋、怒り恋ではなく、笑い恋でいたい。 自分の恋をそう客観的に評価するよう...

「愛の幻滅」は眉子と東野サンの恋のストーリー。 東野サンは気のいい男性、妻子あり。ーー要するに不倫の恋。 だけど、ドロドロの恋愛劇ではなく、あっけらかんとした、 それでいて身を焦がすような切ない恋。 泣き恋、怒り恋ではなく、笑い恋でいたい。 自分の恋をそう客観的に評価するようになってからの眉子は感情を出さず、二人の逢瀬は永遠ではないからこそ、テンションをあげて笑って楽しいひと時を過ごそうとする。 いつ終わってもいい思い出にできるように。 会うたびにしだいに、そう思いはじめる眉子のせつない気持ち。 「めんどくさいこと考えずに目の前の草だけ抜いてたらいいねん。」 東野サンはいつもそう言うけど、 その気のいい言いぐさに惚れたのだけど、 おんなってほんとうに現実的。 いつまでも夢をみているロマンなおとことはしだいにズレてきて。 でも、好きなのはかわらない。 東野サンの笑っている顔、優しい顔を見たくてあれこれ反応してみせる眉子。 しだいに目の前の草だけ抜いてるだけでは満足いかない自分の気持ちに気づく。 夫婦ってどんなものかしら。 どんな男女の関係なのかしら。 まんねり、なものなのかしら。 夫婦の関係について考えたり、東野サンの奥さんのことを思ったりする眉子。 それにしても、田辺聖子さんの小説にでてくる女性は、 仕事をもち、自立して、恋をしても芯の強く、さっぱりとした気のいいタイプ。 読んでいて気持ちがいいのである。 また、文中ででてくる「ハイミス」という表現! 今でいうなら「アラフォー」とでもいいましょうか。 でも、自らをハイミスという眉子の年齢はどうやら27~29! 今では考えられない年齢です。 時代の流れを感じながらも、面白いことにおんなの気持ちはおんなじで、 女性が読むと共感できるところばっかりでスルスルとページが進む一冊。

Posted byブクログ

2010/03/24

こんなに不倫をさらっと書いて、決定的な何かがあるわけではないのに徐々に愛が終わっていく様子を浮かび上がらせるのってすごい。

Posted byブクログ

2010/02/06

以前、書評を読んでからずっと気になっていた小説。 シチュエーションが、今の自分とかぶるところがあって、 ぜひ読んでみたいと思っていた。 実はこの作品は20年以上前のもので 最近文庫で再出版されたものだけど 読んでいて20年以上前の古さは感じなかった。 時代を感じるところと言えば...

以前、書評を読んでからずっと気になっていた小説。 シチュエーションが、今の自分とかぶるところがあって、 ぜひ読んでみたいと思っていた。 実はこの作品は20年以上前のもので 最近文庫で再出版されたものだけど 読んでいて20年以上前の古さは感じなかった。 時代を感じるところと言えば、 ケータイ電話がないことと、籐のバスケットってあたり。 「次の秋で2年目を迎える。そのころにあたしは29歳」 「女は「あら、あらら」という何気ない拍子に、大なり小なり秘密を漏らしてしま うことがある」 「「〜してあげた」と思うことが多くなってきた」 「好きなのは変わりないけれど、心のなかで突っ込みを入れることが多くなってく る」 「困らせたくてワガママを言う」 など、胸に突き刺さる言葉がずらり。 明確な結末は描かれてないけれど、 その先は、ゆるやかな「愛の幻滅」になっていくのだろう。 「笑い恋」ならではの終わり方… 主人公が、今までなら疑いようもないくらい幸せだった過ごし方が だんだんとそう思えなくなってきていることに気付いていく。 ただ、そういう自分の心情の変化を相手に悟られないようにしたい… というくだりは、読んでいて心が痛かった。 心のなかで疑問が増え冷静になるほど 相手に優しくできる、なんてそのとおり。 でもそんな自分は好きなわけではなく、客観視してみてるしかない。 期待していたほどではなかったけれど 自分の心情を言葉にしてもらったような不思議な気分になった。

Posted byブクログ

2011/09/03

まだ、上巻しか読んでいないのでなんともいえないが、短編の方がおもしろいんじゃないかと思う。食べ物の描写とか、季節の描写とかは本当にうまい。ただ、妻帯者とハイミスの恋愛ものなので行き着く先が見えているような。後半に期待。

Posted byブクログ

2009/10/04

これが30年前の作品だなんて、ねぇ。男と女の間柄なんて、それにまつわる悩みなんて、30年前から全然変わってないんだな。いやもっともっと大昔からそうなんだろうな。とっても入り込みながら読みました。

Posted byブクログ

2009/10/04

主人公眉子と東野のやりとりが好き。この恋愛にどっぷりはまってる、少なくとも今ふたりで一緒にいるこの瞬間に幸せを感じてるのがすごく伝わってくる。でもね、やっぱりそれは長く続かないんだ。後半、眉子が東野との恋に覚め、「何々してあげる」ようになる、っていうのすごく分かる!ふたりの間に流...

主人公眉子と東野のやりとりが好き。この恋愛にどっぷりはまってる、少なくとも今ふたりで一緒にいるこの瞬間に幸せを感じてるのがすごく伝わってくる。でもね、やっぱりそれは長く続かないんだ。後半、眉子が東野との恋に覚め、「何々してあげる」ようになる、っていうのすごく分かる!ふたりの間に流れれる空気の心地よさは以前と変わらず、だから別れるまでもなく、彼と今までどおり接する。これからも、彼の癒し、心の支えになりたい、というか、なってあげようかと。う〜ん、すごく共感するんだけど、結局は都合のいい女なのか?これで、幸せなのか?でもね、そんな風に眉子をかわいそうな女って思わせないほど、眉子の気持ちには淡々とした潔さが感じられて。そこが気持ちよく読めたポイントかな?

Posted byブクログ

2009/10/07

家の近くのこじんまりした本屋さんで、お薦めとして平台に置いてあって手にとってみました。帯には、<私の好きな田辺さんの恋愛小説のベスト3>という山田詠美さんのコメントがあります。あの山田さんが!と思い、帯裏に引用されてた本文を拾い読みしてみて、俄然読んでみたくなって買いました。そん...

家の近くのこじんまりした本屋さんで、お薦めとして平台に置いてあって手にとってみました。帯には、<私の好きな田辺さんの恋愛小説のベスト3>という山田詠美さんのコメントがあります。あの山田さんが!と思い、帯裏に引用されてた本文を拾い読みしてみて、俄然読んでみたくなって買いました。そんなことでもなかったら、なんだか仰々しいタイトルだし、恥ずかしながら田辺さんがどんな作家さんなのかも知らないし、きっと興味も持たなかったと思います。 が。 べらぼうにおもしろかったです。 簡単に言うと不倫のお話です。でもすごく達観していて、不倫をいいとも悪いとも評価はしないけど、ただ<こういうものである>という感じなので、思わず共感してしまうことばかり。世の女子はみんな読めばいいのに!っとか、思いました。 昭和52年に書かれたということで、携帯電話どころか、個人電話も無くて呼び出しで、という時代のお話。なので二十代後半が<ハイ・ミス>なんて書かれてて今の感覚と10歳20歳くらい違いますが。 大変、おもしろかったです。 出てくる人たちがみんななんというか気持ちの良い人たちばかりだったのも良かったです。 下巻も、寒色系ですがこれと似た感じのキレイな表紙です。

Posted byブクログ