狂犬病再侵入 の商品レビュー
いわゆる人獣共通感染症については、犬と暮らす身であれば、みな少なからず関心を持っているだろう。 ていうか、鳥インフルエンザなどは、まさに国民全員にとっての、今そこにある危機ですからね。食料備蓄とか、真剣に考えておかなければいけないワケです。 この本の作者は、そういったズーノーシス...
いわゆる人獣共通感染症については、犬と暮らす身であれば、みな少なからず関心を持っているだろう。 ていうか、鳥インフルエンザなどは、まさに国民全員にとっての、今そこにある危機ですからね。食料備蓄とか、真剣に考えておかなければいけないワケです。 この本の作者は、そういったズーノーシスに関する著作を何冊も手がけており、本作はその中でも近年真剣に危惧されている狂犬病の日本国内での再発をテーマにしたものである。 恐怖感をあおり立てるような構成になっていたり、リアルなのか何なのかよくわからない「狂犬病が国内に再侵入するシミュレーション」とかに多くのページが割かれているわりには、「ではどうすれば国内への狂犬病再侵入を防げるのか?」という肝心の部分はあまり具体的ではなく、ちょっと物足りなかった。残念。 とはいえ、狂犬病の歴史や防疫対策の重要性を再確認するという観点からは貴重な一冊だとは思います。 狂犬病は別段犬だけの病気ではないが、ヒトの狂犬病感染の原因の多くは犬であることから、犬の集団のワクチン接種率をある割合以上に高めることが狂犬病の征圧にもっとも効果的である、という理屈はもちろんわかる。狂犬病予防法に基づく徹底した対策(要するにワクチン接種の義務化と野犬や飼い主不明犬の積極的な駆除)及び関係機関の必死の努力によって、日本が長年に渡って狂犬病清浄国として平和に過ごしてこられたのだということも理解しているつもりだ。 しかし、法律で定められた全頭接種の原則(少なくても拡散防止には7〜80%の接種が必要という厚生労働省の主張)と現在の実際の接種率とのあまりの乖離(にもかかわらず厚生労働省は特別な対策を講じない)という矛盾。ワクチン価格や免疫持続性の改良など、飼い主や犬の負担を可能な限り軽減していこうという努力や姿勢がまったくと言っていいほどみられないという現実。 要するにさ〜、何とか特定財源の「暫定税率」と同じで、もともと意義も必要もあったんだろうし、今もあるのかもしれないけど、実体としてはいつのまにか誰かさんの既得権益になっちゃってて、現在では本来の目的を果たすどころか意味のない負担だけを強いるものになっちゃってるんじゃないの〜??!! 獣医さんだか製薬会社だか誰かさんだかの春の定例ボーナスになっちゃってるから、今さらやめられないんじゃないの〜??!! とかいう勘ぐりも時々したくなる、というのが多くの飼い主の本音だと思うのだ。 この本では、そういった飼い主の気持ちや犬をめぐる環境の変化に理解を示し、日本において真に有効な防疫対策の再考と確立の重要性を指摘している。 もちろんその点は共感できるのだが、内容的にちょっと尻すぼみ感は否めなかったというのが正直な感想です。
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