1,800円以上の注文で送料無料

ユダヤ女ハンナ・アーレント の商品レビュー

3

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/07/23

アーレントによれば、ユダヤ民族は、その途方もない脆弱さ、その絶対的無力状態ゆえに野蛮の言うがままになるのだが、こうした脆弱さや無力状態は何よりも数彼らが政治組織を有していないことに由来していた。自分たちを犠牲者とする攻撃に対抗するにしても、ユダヤ人には国家も軍隊も他の国にとっては...

アーレントによれば、ユダヤ民族は、その途方もない脆弱さ、その絶対的無力状態ゆえに野蛮の言うがままになるのだが、こうした脆弱さや無力状態は何よりも数彼らが政治組織を有していないことに由来していた。自分たちを犠牲者とする攻撃に対抗するにしても、ユダヤ人には国家も軍隊も他の国にとっては当たり前の政治もなかった。無国籍者であるがゆえに、彼らは難民になることが最も多く、非ユダヤ人権威者たちや慈善的組織の善意に依存していた。ナチの襲撃によって解体された国民―国家の市民であった彼らは、対独協力諸国家によって殺されかねない状態にあった。しかしながら、まさに個人の逃げ道がもはやない限りで、アーレントはユダヤ人たちが政治的責任を負うかどうかという問題は死活問題であると考えるに至った。ユダヤ人の政治と取り組んでいた時期、この時期彼女はシオニズムに批判的なテクストを書くと同様に、ユダヤ人軍隊の設立を促進しようとしていた 。

Posted byブクログ

2014/11/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 「私はひとりのユダヤ女です」と、自らを位置づけるアーレントにとってユダヤ性は紛れもないひとつの経験であり、己の思考を政治や歴史に導く重要な要素であった。 アーレントが引き起こした数々の論争を踏まえ、その思想練成の側面を照射。 [ 目次 ] 1 「あなたは誰ですか?」「ひとりのユダヤ女です」(ユダヤ人の同化の起源で―ラーエル・ファルンハーゲンあるいは内面性と物語としてのユダヤ性;所与と「誰」) 2 反ユダヤ主義、全体主義。崩壊するのをひとが見たがるものについて書くこと(反ユダヤ主義を解釈すること。同化主義とシオニズムの実践的かつ理論的不十分さ;全体主義の区切り、あるいはジェノサイドの区切り?) 3 困難な平等(解放の運命)(「啓蒙」の両義性から解放の曖昧さへ;無国籍者あるいは「人間一般」) 4 パーリア、成り上がり者、そして政治。いかにして没世界主義から脱するか(パーリアと成り上がり者―圧制の体系;没世界主義と友愛;没世界主義を超えること) 5 抑圧されたものと犠牲者の責任(「われわれが求めるのは慈愛ではなく正義である」;シオニズムあるいは国民解放運動の曖昧さ;ユダヤ人評議会。政治的責任、道徳的責任) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

Posted byブクログ