身体の宇宙誌 の商品レビュー
著者がさまざまな雑誌などに発表した論考をまとめた本です。 著者は、即身成仏の「即身」ということばに注目した松岡正剛や、戦闘機の登場体験を語った三島由紀夫、ジェット・コースターと神秘体験の近さを語った荒俣宏などの文章を引用しつつ、ベルクソンを思わせるような「存在そのものへ加速する...
著者がさまざまな雑誌などに発表した論考をまとめた本です。 著者は、即身成仏の「即身」ということばに注目した松岡正剛や、戦闘機の登場体験を語った三島由紀夫、ジェット・コースターと神秘体験の近さを語った荒俣宏などの文章を引用しつつ、ベルクソンを思わせるような「存在そのものへ加速する」ことをめぐる考察を展開しています。さらに、「三密加持」を通じて大日如来から流出するスピードと、修行者の身体の自己超越するスピードがひとつになるという、即身成仏の身体論的な解釈を提出しています。 また本書では、三島由紀夫、澁澤龍彦、稲垣足穂といった文学者たちについての考察も展開されています。著者は、三島が「暗い官能的陶酔のサド」に耽溺したのに対して、澁澤が惹かれていたのは「明るい幾何学的精神のサド」であったと指摘し、稲垣は三島ではなく澁澤に近い資質の持ち主であったと論じています。さらに澁澤の『高丘親王航海記』と三島の『豊穣の海』の転生譚の比較をおこない、晩年の澁澤が「非‐人類的思考」への飛翔を試みたという解釈が示されています。 そのほか、著者の主要テーマのひとつである「翁童論」にかんする論考も収められています。著者は、先祖崇拝と子孫崇拝が一致することによる死と再生の循環が、けっして家や家族、民族、国家に閉じられることなく、むしろ宇宙的な生命へと開かれていくはずであると主張します。そのうえで、バフチンやクリステヴァらの議論を参照しながら、精神分析における「肛門期」の破壊的衝動が再生へとつながる構造を、記紀神話などのうちに認められると主張し、死と再生というテーマがそのなかにも息づいていることを確認しています。
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身体と神秘体験における二つのベクトル 1、人間神化の方位。頭部から天空へ上へ、イメージ・メディテーション、観想を用いる。火、速度の加速。身体の星あるいは天体化。 2、人間自然化の方位。腹部から大地へ下へ、座法、呼吸法を用い、脱イメージ、無念無想、空無化する。水、減速。身体の樹木あ...
身体と神秘体験における二つのベクトル 1、人間神化の方位。頭部から天空へ上へ、イメージ・メディテーション、観想を用いる。火、速度の加速。身体の星あるいは天体化。 2、人間自然化の方位。腹部から大地へ下へ、座法、呼吸法を用い、脱イメージ、無念無想、空無化する。水、減速。身体の樹木あるいは鉱物化。 3つめとして仏陀の非神化、非自然化の空無の場所としての無常、無我。 翁童 柳田國男の日本的な輪廻思想。 1、他の生命種ではなく、人間から人間へ転生する。 2、転生による魂の新生、生命力の更新がある。 3、同一の氏族か血族の末に生まれ変わる。 天皇の位相とは、信仰上は血統上の何代かには関わり無く、等しく天照大神の御孫で居られる。身体は一代毎に変わるが、魂は不変である。 生命とは祖霊から委託された媒体であるという思想。存在即媒体。 ホトー女陰ー火処(火留) ヒー火ー日ー霊 ミコトー神ー命ー御言ー御事 言(原、幻、元)霊としての祝詞、その伝達者であるミコトモチ、そのことばが発せられる時に起こる時空間の転移、原型の再現。 童子と翁の遠方とのコレスポタンス、ロバチェフスキー空間。
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