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防衛医大の場合は の商品レビュー

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2012/10/31

国家権力というものに直接関わることのない生活を送っていると、どうしても国家が常識から大きくズレたことをするとは考えにくかった。 しかしこれを読んで、ひどく反省した。 国家には大きな権力がある。権力や権威をぶっ潰すことが良いとは思わないし、そんなの不可能だ。しかし、個人の権力を維持...

国家権力というものに直接関わることのない生活を送っていると、どうしても国家が常識から大きくズレたことをするとは考えにくかった。 しかしこれを読んで、ひどく反省した。 国家には大きな権力がある。権力や権威をぶっ潰すことが良いとは思わないし、そんなの不可能だ。しかし、個人の権力を維持するための悪事、そして権力に守られてぬくぬくと育つ狂気というものが確かにあることを思い知らされた。 しかもこれは、戦後すぐとか、そんな昔の話ではない。つい最近のことである。 著者は防衛医大にて医療過誤を超えるレベルの、最早人体実験とすら呼べる手術を施されてしまう。 手術の過程は生々しく、読むのが辛くなってくる。 裁判のシーンでは、呆れて笑うしかないようなことを言う被告側にイライラし、それでもひたすら冷静に論理を展開する原告側の弁護士に舌を巻く。 そしてなにより、著者の、すべてを失いながらも戦う強さには感動した。 重いテーマであるから恐らくこんなことを言ってはいけないのだろうが、純粋に面白かった。ページをめくる手を止めなかったのはゲスな好奇心だったかもしれない。でも結果的に、いろいろなことを考えさせられた。

Posted byブクログ