音楽の風土 革命は短調で訪れる の商品レビュー
刊行からすでに久しいこの本を思い出したのは、先般のイランの選挙のニュースを見たから。 第1章第1節が「シャー去り、ホメイニー師来たれり」。 この書がどのようなものであるか、私にはそれを述べる力量がないので、まずは以下、帯から引用する。 シャーが去り、ホメイニー師が帰ってくる、...
刊行からすでに久しいこの本を思い出したのは、先般のイランの選挙のニュースを見たから。 第1章第1節が「シャー去り、ホメイニー師来たれり」。 この書がどのようなものであるか、私にはそれを述べる力量がないので、まずは以下、帯から引用する。 シャーが去り、ホメイニー師が帰ってくる、その時に、テヘランの巷で聞えた唄声はどのように変わったか。訣れは長調で歓迎は短調で聞えた音楽は何を意味したのだろうか。革命の渦中で三年間を暮した著者は、イスラームの宗教風土とその民族音楽の研究を通じて、西洋文化圏を支配してきた平均律とはまったく異質な音楽世界を見出す。トルコ行進曲や教会ミサ曲の原型をたずねて、これまでの西欧中心の音楽文化観の見直しをはかる。 (以上) 今でも、いや、いつまでも興味深く読める本。著者の筆致は軽やかで駄洒落も多々、辛辣もまたその知性に裏打ちされたものだと感じる。 以下、ついでながら目次も記しておく。 ・革命は短調で訪れるこぞの雪今いずこ…… ・「アーラーメ・ハチャトゥリアン?」 ・トルコ行進曲のふるさと ・バッハじゃなかろうか ・鳥の唄 迂闊なことに、私は自身の読書ノートに、この本を分類できるような項目を掲げていなかったように思う。 東西のあわい、あるいは古今縦横なる著者の知性という意も込めて、「古今東西」に入れることにする。
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