ウィーンの辻音楽師 他一篇 の商品レビュー
あっと言う間に読み終えてしまいました。中々にいい作品だと思いますv 「彼」のお話を、考え方を、もっと聞きたかった…。
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劇作家グリルパルツァー(1791-1872)が生涯に残した、ただ二編の短編小説。どちらも大仰な思想といったものが述べられているわけではないが、福田宏年の名訳文も相俟って、静かな美しさを湛えた佳品であると思う。 「ウィーンの辻音楽師」 天使のように純粋で音楽を愛しているが、不...
劇作家グリルパルツァー(1791-1872)が生涯に残した、ただ二編の短編小説。どちらも大仰な思想といったものが述べられているわけではないが、福田宏年の名訳文も相俟って、静かな美しさを湛えた佳品であると思う。 「ウィーンの辻音楽師」 天使のように純粋で音楽を愛しているが、不器用でお人好しで世間知らず、つまり実生活を営む能力が無い為に有産階級から没落していく男。気が強くて現実的だが、懐の深い心の持ち主である庶民の女。男の人生にすれ違うようにして出逢った女は、男の純粋な魂に深い同情を寄せている。当然のように現実は二人を結びつけることはなかったが、二人の魂はその純粋さを互いに交感し合っていたように思う。だから尚更に切ない。男は、女の行く末を祈りながら倹しい生活にささやかな幸福を感じることが出来たかもしれないが、女は、どうだったのだろう。「下着は今はきちんとしてあるわ。失くさないように、気をつけてください。これからが、つらくなるわよ」「しっかりするのよ、ヤーコプ!――あなたのことは忘れないわ、アーメン!」別れ際に女が送る言葉を読み、記憶が去来する。まるでいつかの自分の物語であるかのように思えてくる。 「ゼンドミールの修道院」 劇的な展開に惹き込まれるようにして小説を読んだのは、何だか久し振りな気がする。作者自身の実体験がもとになっている為か、単なる愛憎劇ではない、静かな苦みが最後に残る。
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劇作家グリルパルツァーが、二篇だけ書いた短篇。表題作と『ゼンドミールの僧院』所収。グルダが弾くシューベルトを聴きながら、もう一度読みましょう。
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絶版だと諦めていたら図書館にありました。グリルパルツァーの数少ない小説。物語としては好きなのですが、よく考えると男の生活能力の無さに呆れます(苦笑) 戯曲者なので、ラストシーンで女性の浮かべる表情等は舞台演出として考えると興味深いところでした。同時収録されている『ゼンドミール修道...
絶版だと諦めていたら図書館にありました。グリルパルツァーの数少ない小説。物語としては好きなのですが、よく考えると男の生活能力の無さに呆れます(苦笑) 戯曲者なので、ラストシーンで女性の浮かべる表情等は舞台演出として考えると興味深いところでした。同時収録されている『ゼンドミール修道院』の方がドラマチックではあるように思いましたが。/(2008.03.22読了)
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