西洋と日本 の商品レビュー
「大学セミナー・ハウス」主催の連続講義をまとめた本で、増田四郎、堀米庸三、中村元、島田謹二の四人の講義が収録されています。 増田四郎「世界史的にみたヨーロッパと日本」は、単線的な発展史観をしりぞけるとともに、西洋の近代文明を受容した日本が西洋とは異なる道をあゆんできたことを、両...
「大学セミナー・ハウス」主催の連続講義をまとめた本で、増田四郎、堀米庸三、中村元、島田謹二の四人の講義が収録されています。 増田四郎「世界史的にみたヨーロッパと日本」は、単線的な発展史観をしりぞけるとともに、西洋の近代文明を受容した日本が西洋とは異なる道をあゆんできたことを、両者の文明の根底にあるものにまでさかのぼって考察することの必要性を主張し、そのためのいくつかの入口になるような話題を提供しています。 堀米庸三「ヨーロッパとは何か」は、「ギリシア・ローマの古典古代史はなぜヨーロッパ史の第一章をなすか」というユニークな問いかけからはじまって、ヨーロッパの自己像をかたちづくるものとして、ヨーロッパ史を見なおすという、メタ・ヒストリー的な観点からの議論が展開されています。 中村元「日本人の思惟方法」は、インドに発祥の起源をもつ仏教が日本に受容されることでどのような変容をこうむることになったのかという問題が論じられています。 島田謹二「日本近代文学の一つの見方」は、明治文学におけるヨーロッパ文学の影響と、大正期の文学のおもしろさについて、著者自身の意見が提出されています。 個人的には、堀米の問題提起がとくに興味深いと感じました。
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