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反日的日本人の思想 の商品レビュー

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2018/06/16

1932年にコミンテルンが日本共産党の任務について記した「三十二年テーゼ」は、日本の前近代性と半封建性を指摘するものでした。その後多くの「進歩的文化人」たちが、このテーゼにしたがって、日本の近代化はまがい物であると断じてきました。彼らは、遅れた日本を蔑視し、共産主義国家にしたがう...

1932年にコミンテルンが日本共産党の任務について記した「三十二年テーゼ」は、日本の前近代性と半封建性を指摘するものでした。その後多くの「進歩的文化人」たちが、このテーゼにしたがって、日本の近代化はまがい物であると断じてきました。彼らは、遅れた日本を蔑視し、共産主義国家にしたがうべきだと主張してきたと著者は述べて、彼らに対する厳しい批判を展開します。批判の対象としてとりあげられているのは、大内兵衛、鶴見俊輔、丸山真男、横田喜三郎、安江良介、久野収、加藤周一、竹内好、向坂逸郎、坂本義和、大江健三郎、大塚久雄の12人です。 もちろん著者は保守派の論客ですので、この12人の左翼的な思想を激しく批判しているのですが、彼らの一人ひとりがどのような論理に導かれてそうした結論に至ったにせよ、多くの人びとが、いわば時代の潮流に掉さすかたちで、無批判に三十二年テーゼを受容してきた事実はあったのではないでしょうか。精神の自由と独立を何よりも重んじるはずの進歩的文化人が、なぜ共産主義国家に対して精神的な隷属性を示すことになったのかという問題は、左右いずれの立場をとるにしても、冷静に批判・検証されるべきなのではないかと考えます。

Posted byブクログ