素粒子 の商品レビュー
人種差別・宗教差別の文言に拒否感。女がキャリアと人生、子育て、身体などで悩みが多くなる間、男は永遠に自分の下半身のことで悩めておめでたいなというのが率直な感情。主要人物の一人は父でありながら、子の存在の希薄さよ。登場する女は軒並み男目線の性的客体であり、人生の実感に乏しい。露悪的...
人種差別・宗教差別の文言に拒否感。女がキャリアと人生、子育て、身体などで悩みが多くなる間、男は永遠に自分の下半身のことで悩めておめでたいなというのが率直な感情。主要人物の一人は父でありながら、子の存在の希薄さよ。登場する女は軒並み男目線の性的客体であり、人生の実感に乏しい。露悪的表現にしても受け付けない要素が多い。ただし惹き込まれる筆致であることは認めざるを得ない。
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若さとその象徴であるセックス、性的快楽のみが現世において肯定されるものである、そんな世界観を抱く男とそれすら客観的にアイロニカルに考え学問に身を投じる男の話。 セックスというより、若さゆえの無限の可能性、死からの距離に憧れを抱いていたようにも見える。
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【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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科学や社会の変化によって、人間の感情や生活が変化していく過程を描いた小説。という印象があって面白く読んだけど、ミシェル・ウェルベックの視線は人間に対して悲観的過ぎて、面倒くさい中二病という感じもした。もっと長くても良かったかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2001年に初版本を買ったまま14年ほど押し入れに埋もれてた本。タイミング的に今読んで正解だった。生物学者とその兄の物語。兄の性的欲求に関する思考なりは同年代となった今同意する部分も多く、あながち俺の考えは特異ではないのだなと思えた。後半相次ぐ人の死から人生観の話に帰結するのかと思いきや最後は壮大なSFとして幕を閉じた。道徳だとか宗教だと社会だとか今大変興味を持っているので、俺なりの未来を旧人類として考えてみたいと思う。 真理なんてものはないのか、はたまた。
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猫町 6月の課題図書を遅ればせながら読了。周りの人達の評価が高かったせいでこちらの期待が高過ぎたのか、正直今一だった。 小説中に登場する性風俗は全て実在のものに取材しているらしく、加えて現代フランスでは婚外子の方が嫡出子よりも多いという統計を考え合わせると、フランスは家族制度と...
猫町 6月の課題図書を遅ればせながら読了。周りの人達の評価が高かったせいでこちらの期待が高過ぎたのか、正直今一だった。 小説中に登場する性風俗は全て実在のものに取材しているらしく、加えて現代フランスでは婚外子の方が嫡出子よりも多いという統計を考え合わせると、フランスは家族制度とセックスが完全に切り離されたセックス・エンターテイメント先進国と言える。その現代フランスの風俗を「秘密のキャンプ地 潜入レポート!!」といった感じの低俗ルポではなく、一篇の小説に昇華させたウェルベックは讃えられるべきだが、しかし、この小説は高く評価され過ぎている気がする。 エピローグで語られる世界観には確かに凄みがあるが、いかにも取ってつけたような印象。こういう世界観の小説が読みたければ、小説中でも引用される Brave New World を読み返したい。
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中世の時代、神は人間の上に君臨していた。その神の権威が消えた後、地上に君臨したのは人間であった。しかし、神の栄光がいつしか消えていったように、人間もまた、今ではかつての輝きを失ったかのように見える。ニーチェの「神は死んだ」という言葉を受けて、「人間は死んだ」という言葉が、フーコー...
中世の時代、神は人間の上に君臨していた。その神の権威が消えた後、地上に君臨したのは人間であった。しかし、神の栄光がいつしか消えていったように、人間もまた、今ではかつての輝きを失ったかのように見える。ニーチェの「神は死んだ」という言葉を受けて、「人間は死んだ」という言葉が、フーコー本人が否定したにも関わらず一人歩きしはじめたのは、いかにも象徴的である。 ある意味では対称的な、またある意味では非常に似通った二人の主人公は異父兄弟である。対称的なのは、超一流の生物学者である弟のミシェルが、美しいフィアンセを愛することができない孤独な求道者的人物として描かれているのに対し、平凡な文学教師の兄のブリュノは、「エロティック=広告社会」に首まで浸かったセックス至上主義者として戯画化されていることである。 似通っているのは、二人とも奔放な男性遍歴を重ねる母に見捨てられ、祖母に育てられたために愛というものが理解できないことである。子どもの頃科学の本ばかりを相手にして育ったミシェルは、人を愛するということが分からない。ブリュノの場合、彼が求めているのは、自分を理解した上で愛してくれる女性なのだが、性的な願望に眩惑されているブリュノにはそれが理解できない。 一人は愛を知らず、一人は性による結びつきに愛を求めては裏切られ続ける。長い彷徨の果てに愛する相手を得たと思ったのもつかの間、二人ともその相手を喪失し、自分もまた毀れてしまう。「恋だの優しさだの人類愛だのといった感情はすでにおおかた消え失せて」「同時代人たちは互いの関係においてたいていは無関心、さらには冷酷さを示してい」る、プロローグに記されたそんな世界に二人は住んでいるのだ。 ミシェルの著したノートには「愛は結びつける。永遠に結びつける。善をなすことは結びつけることであり、悪をなすことは結びつきを解くことである。」という言葉が残されている。『ケルズの書』の絡み文様から触発されたこの言葉には、母との結びつきを解かれ、アナベルを癌によって喪ったミシェルの心の傷と、それにも増して愛を求める叫びがこだましている。愛を知ることのなかった頃は生きていられたミシェルだが、一度愛を知るや、愛のない人生に耐えられず自殺してしまう。 人は、生、老、病、死から逃れられない。われわれは、いわばそれを引き受けた上で生きているのだが、仏陀のような覚者でもない限り、心安んじて生きているとは言えない。問題は愛にある。母と子、男と女のように人が互いに分離されていることが愛を生じさせるのだ。人は愛するが故に迷い、執着するのである。人間が今のような存在として生きていく限り、いくら「分離は悪の別名」だとしても、いつかは愛するものとの結びつきを解かれざるを得ない。 プロローグとエピローグに挟まれるミシェルとブリュノの物語は、人間の生が苦しみでしかなかったことの実証である。プロローグでは、この物語が過去の回想であることを証している。エピローグでは、コペルニクス的回転でもって、「永遠に結びつける」愛がいかにして可能になったかを記述している。その解決策を受け容れられるかどうかは、読者の資質によるだろう。
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ストーリー性、というのがあまり感じられなくて、これがふらんす文学か、と思いながら読んでいます。 わあおもしろい、という質のしろものではないのに読み始めるとなぜか延々読んでしまう。
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極私的ベスト10に、挙げたい。 こういう本に出会えるから、活字中毒は止められない。 ...
極私的ベスト10に、挙げたい。 こういう本に出会えるから、活字中毒は止められない。 しんどく惨めな、性と時代を、嘲笑い、侮蔑し、唾を吐き掛け、それをぬって尚も、人間を愛しむ著者の、鋭く、やわらかい まなざし。 終焉、アイルランドはゴールウェイの、寂寥な描写は、絶品。 他愛もない喜びと哀しみを糧にして、ちっぽけに日々を生き続け、死んでゆく「人間」への、峻厳で端正な筆で書かれる、慈しみに満ちた、オマージュ。どうしても、難を言うなら、素粒子論は、使われ方が浅薄過ぎて、本筋には余り関係ないかな……(そういう、ノリでやってみたぜ、な処も好きだが)。
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よむのに疲れた。 決して面白くない 単に淡々とブリュノの虚無の心情と性行動 そしてそこに重なる悲劇がこれまた淡々と描写されている。 まるで、エロビデオ屋で淡々と映像が流れてるように。 だけど、強く共感する 特に孤独な視点から 求める快楽と性欲 そして衰え 失う怖さ いろい...
よむのに疲れた。 決して面白くない 単に淡々とブリュノの虚無の心情と性行動 そしてそこに重なる悲劇がこれまた淡々と描写されている。 まるで、エロビデオ屋で淡々と映像が流れてるように。 だけど、強く共感する 特に孤独な視点から 求める快楽と性欲 そして衰え 失う怖さ いろいろわかる。 混沌と虚無の中の孤独 それが素粒子という事なのだろう。 とにかく 読んで暗くなる そして、だからなんなのだ と ブリュノの気持ちが読んだ直後に憑依する、やばい本だ。 文学として最高だ。 いくつか勉強になった点がある 「そもそもあの頃はだれもが左翼だった」 同棲 結婚したのは彼女が妊娠したから。 ヨーロッパキリスト教徒の背後にある。アメリカとは違う精神背景 ローマの信徒への手紙十二―9 「妻を愛する事、それは自分を愛すること、それは自分自身を愛することです。いかなる人間であれ自らの肉体を憎んだためしはありません。それどころか自らの肉体はこれを養い、守るものです。 ちょうどキリストが教会に対してそうしたように。なぜなら 我々は同じ身体の部分であり、キリストの肉体と骨とに結ばれているからです」 だからこそ 二人は一心同体 キリスト教会にとって重大な神秘である。 即ち恋愛状態に陥り結婚を考えたSEXはキリスト教にとって最大の神秘なのである そこにガンジーの平和主義運動の同情が加わり デカタンスと快楽主義が欧州の左翼思想を形成しその上に高級な知識者の合理的形而上主義がヨーロッパの独特な高品位な左翼思想をいじしているのだと思う アメリカの保守のためのリベラル思想+未だに続くベトナム反戦教団 日本においては まったくなんだわからん左翼 平等 平和 働かない労働者に正当性と助成金を集める司法ロビー活動団体とはちがうのだなという事が 理解できました。 余談 なんと話の中に「Prince Saphir」という日本の漫画の話が出てきてフランス人に大きな影響を与えたそうだ。 なんとそれは 手塚治の「リボンの騎士」 バラの騎士の本場で精神的影響をあたえる手塚治 怖いです。w
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