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皇帝のかぎ煙草入れ の商品レビュー

4.2

47件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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人を信じやすく美しい…

人を信じやすく美しい女性が、いまだに彼女を諦められずに寝室に忍び込んできた前夫と、向かいに住む婚約者の父親が殺されているところを目撃し、その結果彼女自身が窮地に陥り……推理小説ですから、これ以上は読んでのお楽しみですが、推理小説としての本筋の展開に伴って、ヒロインの前夫と婚約者の...

人を信じやすく美しい女性が、いまだに彼女を諦められずに寝室に忍び込んできた前夫と、向かいに住む婚約者の父親が殺されているところを目撃し、その結果彼女自身が窮地に陥り……推理小説ですから、これ以上は読んでのお楽しみですが、推理小説としての本筋の展開に伴って、ヒロインの前夫と婚約者の二人の男の性格が次第に明らかになっていき、ヒロインは最後にどうなるのかという点に、作者の人生観ないしは秘めたる願望のようなものが見えるような気もします。鍵は心理の盲点。そして、嘘をつくときにはしゃべりすぎは禁物という教訓も

文庫OFF

事細かなトリック云々…

事細かなトリック云々というより大雑把に不可能犯罪というカテゴリーで楽しむべき一作。自分はこういうの大好きだけど、「そんなんわかるわけねー」と投げそうになる人の気持ちもよくわかる。 古き良き時代を感じるちょっとお堅い翻訳文もまたよし。フェアレディとして描かれていた女性が突如「ええ、...

事細かなトリック云々というより大雑把に不可能犯罪というカテゴリーで楽しむべき一作。自分はこういうの大好きだけど、「そんなんわかるわけねー」と投げそうになる人の気持ちもよくわかる。 古き良き時代を感じるちょっとお堅い翻訳文もまたよし。フェアレディとして描かれていた女性が突如「ええ、やめちまいますわ!」とか言うのが楽しいです。

文庫OFF

カーの作品の中でも最…

カーの作品の中でも最も知名度の高い作品の一つ。トリックが分かったときは唖然としてしまいました。

文庫OFF

2023/09/03

今回もカーらしく、男を惑わす魔性の女が登場するが、他の作品との違いは、物語が主にその女性の視点から語られる所であろう。25年以上前の初読時には気にしなかったが、あの結末は……キンロス博士も“落ちた”って事だよねぇ。

Posted byブクログ

2023/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。コンパクトにまとまってて、事件から解決までさらりと、描きつつ人間模様も読ませるあたりがよかった。 現代的な感覚で読んでも仕方がないのだけど、とにかくヒロインにはイライラさせられて、なんでこんなに愚かなのか、そんなんだからダメなんだ、逃げるなら逃げるであえて自分から袋小路へはまっていくような弱さはどうなんだとずっと思っていたけれど、結末まで読めばこの人物造形には納得した。でもやっぱイライラするわ…。 人間の弱さ、弱さゆえの愚かさ、みたいなものについては、ヒシヒシと感じいった。やれやれ…

Posted byブクログ

2022/05/17

 現在の視点からすると、まあありがちなトリックではあるけど、結局はひっかかってしまった。それに、中盤から終盤は先が気になって一気読みさせられた。  訳も40年前のものだが読みやすかった。

Posted byブクログ

2022/02/19

 古典ミステリにはそれなりの割合で現代では通用しないだろうな......と感じるトリックなどが存在するのですが、この作品のトリックはシンプルゆえに現代でも通用するもので流石傑作と言われるだけあると感じました。

Posted byブクログ

2018/02/03

とても読みやすい翻訳モノ。登場人物が絞られているので名前が覚えやすく、人物のイメージもつきやすいのでは。 トリックがもてはやされる本作。でも一番の面白味はイヴがいかに事件に巻き込まれ窮地に追い込まれるかというサスペンス要素にあると思う。女の私から見て、こういう危なっかしい女性と...

とても読みやすい翻訳モノ。登場人物が絞られているので名前が覚えやすく、人物のイメージもつきやすいのでは。 トリックがもてはやされる本作。でも一番の面白味はイヴがいかに事件に巻き込まれ窮地に追い込まれるかというサスペンス要素にあると思う。女の私から見て、こういう危なっかしい女性というのはわりと身近に思い当たり、その人達を重ねてハラハラヤキモキ。彼女の心理の描かれ方もアガサ・クリスティーあたりの女性作家が書いたように違和感はない。 トリックそのものは私は鮮やかだと思うし、謎解きをしようと思って読むわけではないので真相がわかった時の驚きを味わうこともできた。ミステリー初心者でも楽しめる作品。

Posted byブクログ

2017/01/19

『曲がった蝶番』の感想においてカーの作品の私的ベスト5に入ると書いたが、本作も同じく私的ベスト5に入る作品である。フェル博士物でもHM卿物でも、はたまたバンコラン物でもないノンシリーズのこの作品は実に整然とした美しさを持っている。それが故にケレン味がないということでカー信奉者から...

『曲がった蝶番』の感想においてカーの作品の私的ベスト5に入ると書いたが、本作も同じく私的ベスト5に入る作品である。フェル博士物でもHM卿物でも、はたまたバンコラン物でもないノンシリーズのこの作品は実に整然とした美しさを持っている。それが故にケレン味がないということでカー信奉者からはカーらしくないというほとんど言い掛かりのような批判を受けている作品でもある。 再婚を控えた女性の許にある夜前夫が訪れる。彼女イヴの家は婚約者トビーの家の通りを隔てた真向かいにあり、その目を気にして明かりを消した。しかし前夫ネッドはわざと窓際に立って離れようとしなかった。そのうちネッドはトビーの家で誰かがトビーの父親モーリスの部屋から出て行こうとしていると告げる。イヴが覗くとなんとモーリスが殺されているように見えた。驚いたイヴはネッドと共にモーリス宅へ行こうとするが、色んなごたごたに巻込まれるうちに、イヴ自身が加害者の如き、状況を呈していく。 本書は『死者はよみがえる』で見られた巻込まれ型が非常に上手く事件に溶け込みあっており、それが主人公イヴをどんどん窮地に陥れていく。思わぬアクシデントでネッドの鼻血が付くことで血痕が出来ることを皮切りに、どんどん運命の歯車がイヴにとって最悪の方向に転がり、殺害者の容疑がどんどん濃くなっていくところは見事なストーリー展開だ。 さらに本作では人間の思い込みを巧みに利用することで、ありえないと思われた犯人が実に説得力を持って納得させられる。しかもそれが作者のご都合主義ではなく人間って確かにこんな間違いをするよなと納得させられる類いのものであるから、アンフェア感が全くない。逆に同じ過ちを読者も思い知らされることだろう。『連続殺人事件』の時にも書いたが、登場人物を一つの駒と見ず、意思を持った人間として扱うカーの長所がいかんなく発揮された紛れもない傑作である。 そして本書にはミスディレクションが数多く盛り込まれていることも見逃してはならない。最も大きなミスディレクションはここに記すことは出来ない。なぜならこれは真相に大いに関わってくるからだ。敢えて云うならば全編に散りばめられた「会話」そのものがミスディレクションになっている。そしてそれが絶妙に読者にある錯覚を引き起こさせているのだ。 しかし実はよく見落としがちなのだが、実は最も巧妙なミスディレクションは本書の題名であろう。この題名こそが読者に抗えない先入観を与え、サプライズに大きく寄与している。いやあ、ここまで来ると単なるミステリ作家の枠を超え、策士とまで云いたくなるほどだ(もちろんいい意味で)。あまりカーの作品を読んで好感触を得られず、読むのを止めてしまった読者に、カーの最盛期とはこれほどまでにすごかったのだと教える意味でもぜひとも読んで欲しい作品だ。

Posted byブクログ

2016/08/16

言わずと知れた名作ミステリ。事件は一つだし、メインの謎自体もたった一つなのだけれど。まったく物足りない気はしませんでした。 イヴを巡るサスペンスフルな展開も読みどころ。彼女がいったいどうなってしまうのかが気になって、ぐいぐい読み進みました。彼女を巡る周りの人々のねじれた人間関係の...

言わずと知れた名作ミステリ。事件は一つだし、メインの謎自体もたった一つなのだけれど。まったく物足りない気はしませんでした。 イヴを巡るサスペンスフルな展開も読みどころ。彼女がいったいどうなってしまうのかが気になって、ぐいぐい読み進みました。彼女を巡る周りの人々のねじれた人間関係の方が複雑といえば複雑、かも。事件の真相が実はとんでもなくシンプルだったことも驚愕。もちろん、いくらシンプルだと言ってもおいそれと気づけるものではありませんでした……。

Posted byブクログ