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時計の社会史 の商品レビュー

4.4

9件のお客様レビュー

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2020/05/31

世界にかかわらず日本に触れてくれている。エピソード豊富で面白く読むことができる。最近の岩波新書のような中公新書だ(!?)。シンデレラに始まり、時計と、時間意識の浸透を探る。時間は神のもので、そのため利子は禁止されていた。修道院で発達した時計が、世俗化が進む中で労務管理などと相まっ...

世界にかかわらず日本に触れてくれている。エピソード豊富で面白く読むことができる。最近の岩波新書のような中公新書だ(!?)。シンデレラに始まり、時計と、時間意識の浸透を探る。時間は神のもので、そのため利子は禁止されていた。修道院で発達した時計が、世俗化が進む中で労務管理などと相まって都市化していく過程が描かれる。イギリス、日本の労働環境の過酷さ!一方メキシコの鉄道やインドの労働者のルーズな話が印象的。スマイルズの自助、ワシントンの秘書をこっぴどく叱る話など次第に厳格な時間観念が形成されていった。日本では奥の細道を手がかりに寺の鐘や簡易式日時計が説明される。旅行大好き日本!シーボルトも驚いているほどですって。和時計はすごい!セックスシティロンドン!聖月曜日。定時法に切り替える日本。

Posted byブクログ

2017/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1984年刊。著者は和歌山大学経済学部教授。◆時計には様々な種類が存する(日時計、水時計、砂時計)が、歴史的転換を促したのは機械時計。これを生み出した西欧(特に英国)自身の社会変容と、時計が流入した東洋(日中)の変容を、西洋中世史学者が読み解く。前者は①中世最晩期、大洋航海中の経度測定のために正確な機械時計を必要。②不定時法から定時法。時間概念の画一⇒時間が賃金の算定基準⇒時間の拘束という労働観の変容(産業革命という時代に適合)へ。日本では不定時法を変えないまま、時法に合わせて機械時計を改良する方向へ。 つまり、日本は、根本的なルールを変更できないまま小手先の技術的変容で満足。他方、中国は皇帝用の装飾重視の工芸品と化し、一般に普及しないのは勿論、社会的影響が僅少であった、とのこと。この点、時間の意味の歴史的変遷という観点から見て、①英国での近代的労働観に時計が与えた影響と、②日本の江戸時代、それも、元禄期においてすら既に広範に一般普及した時鐘によって「時間の公共性」が社会的に実現していた。この特殊な社会の存在が、後の近代的雇用制度を労働者側で受け入れられた、一つの社会的要因と看做す点は興味を引く。

Posted byブクログ

2015/11/29

時計の発展史。日本や欧州でどのように時計が発展してきて、生活にどのようなインパクトを与えてきたかを考察している。

Posted byブクログ

2013/08/09

世界各国における時計やそれが表示する制度としての時間の史的変遷を辿る。 ハードとしての時計が世界各国ではどのように受け入れられたのか。14世紀に宗教的な必要性から修道院で生まれた時計は、キリスト教の教義とぶつかりながらも人間の生活になくてはならないものとなっていった。国や時代によ...

世界各国における時計やそれが表示する制度としての時間の史的変遷を辿る。 ハードとしての時計が世界各国ではどのように受け入れられたのか。14世紀に宗教的な必要性から修道院で生まれた時計は、キリスト教の教義とぶつかりながらも人間の生活になくてはならないものとなっていった。国や時代によって時計の持つ意味が大きく異なっていたことが興味深い。 時計が表示する時間は単に1日の時刻を客観的に認識可能としただけでなく、それによって人間の生活を規定してゆくことになった。時計の登場は「タイムイズマネー」の思想を生み、個人による自由な労働から時間に縛られた工場労働を開始し、産業革命の重要な要因となった。 時計が人類史に与えてきた影響は大きく、広範に渡る。ミクロ的なものからマクロ的なものまで様々な分野との関連性を考えながら読むことができて非常に楽しい本だった。

Posted byブクログ

2012/03/03

角山栄は「茶の世界史」で知った。この人は一つの物質をキーワードに社会や世界を読み解くのが得意なのかな。本書も面白かった!

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2011/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新書は専門書ではないので、多くを期待して読むことはない。 お金を出して購入した場合には、必要な情報が網羅的に得られるか、面白い情報が体系的に綴ってあるとうれしい。 時計について、いろいろ知らなかったことが書かれているので参考になった。 ps. 野口 悠紀雄著 「続「超」整理法・時間編―タイム・マネジメントの新技法 」 の参考文献に本書が掲載されている。

Posted byブクログ

2011/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/02/14

これまた大航海時代、産業革命と深くかかわる話。江戸時代のガイドブックには穴があって、こよりを立てて日時計として使ったとはまた芸が細かい。いやガイドブックがあったことのほうが驚きか。。

Posted byブクログ

2009/10/04

時計の発明から日本への伝来、そして現代(この本の出版は1980年代)に続く時計の技術・機能発達とその背景もしくは影響下となった各国の社会の状態や変遷を歴史的におっており、そこから時間に対する人々の感覚の変化にも言及していておもしろかった。貴重な文献なのに、絶版なのか、書店ですぐに...

時計の発明から日本への伝来、そして現代(この本の出版は1980年代)に続く時計の技術・機能発達とその背景もしくは影響下となった各国の社会の状態や変遷を歴史的におっており、そこから時間に対する人々の感覚の変化にも言及していておもしろかった。貴重な文献なのに、絶版なのか、書店ですぐに買える本ではなくなっているようなことが残念だ。 この本では最終的に、機械時計・ウォッチの普及によって人々に余暇が増加し、パーソナル化した時間を自由に使えるようになったことを、どちらかといえば楽観的に論じている。しかし、この本の出版後の人々の「時間」を追っていくと、その使い方に自由な選択の余地のあるはずの余暇時間は、更なる労働に当てられたり、人々はより忙しい生活に駆り立てられているように感じられる。「スローライフ」ということばが郷愁の念をこめて叫ばれているような現代社会を考えてみれば、そのことは明らかだ。また、得た余暇時間をどう使うかを、本当に思い通りに満足がいくようにコントロールできている人は、自分の周囲の人々を見ていても少ないように感じられ、人間が時間をパーソナル化してコントロールすることは達成しえないことなのではないかと思う。

Posted byブクログ