知事と補佐官-長洲神奈川県政の20年 の商品レビュー
政策先進県神奈川県の象徴であった長洲県政、本書は長洲を補佐官として支えた久保氏の著書である。 長洲県政は情報公開制度や環境アセスメント、先進的な産業政策としてのかながわサイエンスパークなど日本の地方自治に大きな足跡を残した。 そして、多くの自治体がその足跡を追った。 ...
政策先進県神奈川県の象徴であった長洲県政、本書は長洲を補佐官として支えた久保氏の著書である。 長洲県政は情報公開制度や環境アセスメント、先進的な産業政策としてのかながわサイエンスパークなど日本の地方自治に大きな足跡を残した。 そして、多くの自治体がその足跡を追った。 しかし足元の神奈川県庁においては、長洲の退任後その足跡はほとんど消え去ってしまった。 著者は、これに対して「政策の革新はできたが人事制度の革新はできなかった。 公務員制度は「国のかたち」にもつながる問題だけに重い課題だった。」 述べ、明治依頼の官僚制度を破れなかったことをその原因の一つとしている。 また、解説者の磯崎氏は長洲が新しい政策には積極的に取り組んだ反面、従来からあった政策に手をつけなかったため、財政が逼迫し新規政策に手を出せなくなった時その光を失ったとしている。 地方自治に残した長洲の功績は評価されるものがあるが、官僚機構のコアな部分を変えられなかったことに、その限界があった。 長洲県政当時は、まだ機関委任事務全盛の時代であり、7割近くが機関委任事務であったことからすれば仕方がないかもしれないが、ようやくその足枷が外れた現在に長洲のレガシーが残らなかったことは残念なことである。
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