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世界の名著(52) の商品レビュー

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2010/04/07

ラスキン  「この最後の者にも」  「ごまとゆり」 モリス  「ユートピアだより」 解説「ラスキンとモリス」

Posted byブクログ

2009/10/04

 別に名前につられたわけではないのですが、「ラスキン」とモリスの作品が収められています。どちらも芸術者なのですが、経済や社会の問題を扱っているのが本書です。ラスキンの作品は「この最後の者にも」「ごまとゆり」、モリスの作品は「ユートピアだより」です。  ラスキンに関しては聖書その他...

 別に名前につられたわけではないのですが、「ラスキン」とモリスの作品が収められています。どちらも芸術者なのですが、経済や社会の問題を扱っているのが本書です。ラスキンの作品は「この最後の者にも」「ごまとゆり」、モリスの作品は「ユートピアだより」です。  ラスキンに関しては聖書その他の書籍から数多くの引用がなされているため、ややわかりにくくなっています。ラスキンは貨幣ばかりを富とみなし、また、貨幣を追いかけるようないわゆる「ブルジョワ経済学」を批判しています。貨幣の追求は所与の前提になっている感があるだけにかえって新鮮です。「ごまとゆり」は読書論で、どうして偉大な人の話は聞くのに書物という偉大な人の話に耳を傾けないのかと訴えかけます。  ユートピアだよりは未来世界へ飛ばされてしまった語り手の体験を描いた若干SF的な「ユートピア小説」です。『民衆の芸術』でも述べられているような、貨幣を追及するための労働ではなく、そのものが喜びであるような労働によって成り立つ社会が描かれています。お金や仕事、貨幣や労働といったテーマを考えるにいい一冊です。古典だけに素朴にしかしラディカルに問を立て主張がなされています。

Posted byブクログ