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政治的なものの概念 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2013/03/21

有名な友敵理論について書かれた本です。 友と敵とを区別して対立する、それが政治だとするシンプルな見方なので、共同的な行為に対する目線がないという批判がありますが、時代状況を考えれば厳しい時代ほどシュミットの論が必然性を帯びてくる、という状態であり、今のような時代こそ必要な論考であ...

有名な友敵理論について書かれた本です。 友と敵とを区別して対立する、それが政治だとするシンプルな見方なので、共同的な行為に対する目線がないという批判がありますが、時代状況を考えれば厳しい時代ほどシュミットの論が必然性を帯びてくる、という状態であり、今のような時代こそ必要な論考であるといえます。

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2012/12/21

公法学者であるカール・シュミットが、そうした法や法秩序としての国家、経済的領域としての社会などは、すべて「政治的なもの」によって基礎づけられているのであるという主張を展開する。その「政治的なもの」の徴憑は「友―敵関係」である。こうした視点であらゆる対立を観察すると、すべてが「政治...

公法学者であるカール・シュミットが、そうした法や法秩序としての国家、経済的領域としての社会などは、すべて「政治的なもの」によって基礎づけられているのであるという主張を展開する。その「政治的なもの」の徴憑は「友―敵関係」である。こうした視点であらゆる対立を観察すると、すべてが「政治的なもの」のうちに回収されていく。しかし中でも、決定的事態に際して決定する権力としての「主権」を有する政治的単位=国家こそが、「政治的なもの」の中でも特に重要である。政治の価値をいかなる基準によって判定するか、ということを考える際に、このシュミットの「政治的なもの」をめぐる議論は無視できないに違いない。

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2012/09/29

 (公)敵の概念は、日本ではなじみの薄いものであるように思われる。確かに戦前は軍国主義であったし、戦後も冷戦に巻き込まれて赤狩りを展開した。しかし、戦前のそれは宗教的含意と私情が濃厚なものであったし、戦後のそれは半分お遊びのようなものであり、命を賭けて戦うものではなかった(敵の側...

 (公)敵の概念は、日本ではなじみの薄いものであるように思われる。確かに戦前は軍国主義であったし、戦後も冷戦に巻き込まれて赤狩りを展開した。しかし、戦前のそれは宗教的含意と私情が濃厚なものであったし、戦後のそれは半分お遊びのようなものであり、命を賭けて戦うものではなかった(敵の側には命を落とすことまで命じる用意があったのかもしれないが)。  シュミットのいう政治的なものの標識は、ヘーゲルのいわゆる国家を慎重に考慮しつつ、一般的にいわれるところの国家とその機能としての政治とは切り離されたものとして、提示される。これは、あらゆる領域が政治的なものの範疇に含められる可能性と、政治的なものの消滅が逆説的に国家の消滅を意味するという結果を表す。  この帰結は自由主義批判と国連批判として非常に強力である。国連が存在する限り、普遍的世界は訪れないし、自由主義は非政治的であろうとするがゆえに政治的である。  シュミットの思想は、洗練され、鋭敏であるゆえに、人を惹きつけるものがある。しかし、彼の政治標識が西欧で広く受け入れられるものであるとすれば、それはやはり恐ろしいことであり、政治的なものを無条件で肯定することの危険性は明白である。同時に、政治的なものが無尽蔵に生じ続けることの必然性を示している。  個人的に面白かったのは、法学について、誰が権力を握っているかだけだろう、ときって捨てているところ。身もふたもないw

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2012/06/21

資本主義や共産主義の負の面を解決した思想がある! 知りたいかな?かな?答えはシュミット先生に聞こう。 その思想は、残念ながらナチズムに利用されちゃいました。あうあう 本の題の「政治的なものの概念」とは、所詮仮のものにすぎぬ・・・ 実は、人が他の人をなぜ支配するのか?を考察してま...

資本主義や共産主義の負の面を解決した思想がある! 知りたいかな?かな?答えはシュミット先生に聞こう。 その思想は、残念ながらナチズムに利用されちゃいました。あうあう 本の題の「政治的なものの概念」とは、所詮仮のものにすぎぬ・・・ 実は、人が他の人をなぜ支配するのか?を考察してます。 なんか不気味なキーワード、「友・敵」を使って。 支配されている大多数の人。これを読んでどう思う? ちゃんと反論できますか?あうあう

Posted byブクログ

2012/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了—1月4日 【まとめ】  国家という概念は、政治的なものを前提としており、国家の政治的な行動や動機の基になる特殊政治的な区別とは「友敵」区別である。これは経済の「利害」、道徳の「善悪」に類いする標識であるのだが、友•敵区別こそが特殊政治的なものであり、この特殊な対立を、(倫理や経済など)他の諸概念の対立から分離し、独立的なものとしてとらえることができるそのことによって、国家を主権国家たらしめる。  友/敵、闘争という概念の背後には、戦争の現実可能性が常にある。政治的なるものは、戦争という例外状況において、だれが自分たちの敵なのかという友/敵区別を独自に行なうことを可能にする主体、すなわち常に人間の生命を支配する権利をゆうすという意味で、他の諸団体よりも優位にある政治的単位、つまり「主権をもつ」単位である。 【感想】  まとめると非常にシンプルになったが、難しかった。不思議と読んでいくと面白く、破壊力があるように感じる。  特殊政治的区別である友/敵区別は、敵か味方かという二者択一を迫る理論に、戦争の現実可能性を前提とする政治的なものの概念は、好戦的であると解されるという弱点があるようにも見受けられる。また、自分が破壊力があるように感じる理由の一つに、友/敵結束によって追放、殲滅という戦争まで想定した相手、敵との間には、やるかやられるかしかないように感じるからだ。つまり、国家の最低限の機能、政体を保持したままで戦略を変え、友/敵結束を組み替える発想が本書では伺えない。状況に照らし合わせ、敵が味方に、味方が敵になる流動性が感じられず、ナチズムに見られたように自己破壊装置を内蔵した概念にも思える。  このシンプルかつ破壊力のある政治理論へたどり着くまでに、政治的思考における法解釈や多元的国家論批判、自由主義批判があり、いままで政治学といえば欧米系の権力の配分や政治システムを考えていたものとしては、多々ショックを受け、それゆえ興味深い理論だと思った。ナチズムとの関係など、ますますシュミットに興味が出てきた。

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2010/12/22

政治学・公法学ともに知識がないため、ただの感想。かなり面白かった。 特に性善説を取った際に生まれる矛盾の説明と、ペシミスティックな主張を嫌う世の傾向が性善説や自由主義を好むことの説明がわかりやすく、興味深かった。 現代でも非常に重要な主張が多く含まれているように感じる。 こ...

政治学・公法学ともに知識がないため、ただの感想。かなり面白かった。 特に性善説を取った際に生まれる矛盾の説明と、ペシミスティックな主張を嫌う世の傾向が性善説や自由主義を好むことの説明がわかりやすく、興味深かった。 現代でも非常に重要な主張が多く含まれているように感じる。 こういう主張が結果としてナチスを支えてしまったと聞くと複雑な気持ちにもなるのだけど。

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2010/02/11

 政治を考える際、経済や法律とは独自な変数として考えなければいけない事項を、シュミットは、友・敵理論とした。すなわち、美的には美・醜、経済には利・害と対立概念があるように、政治的なものとして、友・敵という対立概念が存在しているとした。この概念は、国家においては個々の事象で別々に規...

 政治を考える際、経済や法律とは独自な変数として考えなければいけない事項を、シュミットは、友・敵理論とした。すなわち、美的には美・醜、経済には利・害と対立概念があるように、政治的なものとして、友・敵という対立概念が存在しているとした。この概念は、国家においては個々の事象で別々に規定される。例えば、ある植民地の利権においては、イギリスとフランスは敵対するかもしれないが、ドイツとの対抗においては、同盟を結ぶなど。また、この本により、民主主義制度への批判などを加える。  シュミットの本は非常に難しいが、これはまだ簡単なほうだった。しかし、kろえでもたいして理解できていない。後ほど読み直したい。

Posted byブクログ

2009/10/04

この本で年越し読書。 萱野稔人の国家論で紹介されていたので読んだが、詳しく知りたい「友・敵理論」が中心的話題になっているわけではなく期待外れのように感じた。

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