春の雪 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
三島由紀夫の名作のコミカライズ。大正時代、侯爵の一人息子、清顕と伯爵令嬢聡子。二人は想い合っているのだが、清顕の子どもじみた自尊心や身勝手さで、素直になれないでいた。そこに聡子へ宮家との縁談が持ち上がる。勅許まで出た宮家の許嫁という禁断の関係に魅力を感じた清顕は聡子と関係を持ち、結果聡子は妊娠し、最後は罪悪感から出家の道を選ぶ。この物語で、清顕は聡子に振り回されたと思っているが、本当に振り回されたのは聡子ではないだろうか。コミカライズされたこの本では、聡子は宮家への罪悪感を露わにしているし、原作に出てきたお腹を労る場面がない。汽車での別れのシーンはさも無理矢理引き裂かれたようになっているので、聡子が出家した理由が分かりづらくなっている。池田理代子の画によって、髪を切った聡子の強固な決意の表情は美しく描かれている。
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