この人この世界(2007年2-3月) の商品レビュー
『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』 NHKの番組のテキストだが、我が家にはテレビはないため、テキストだけで楽しんだ。 アンコール遺跡研究の第一人者である石澤良昭先生の世界。 第一回「アンコール遺跡との出会い」では、他の著者では知りえない石澤先生のアンコールとの出会いにつ...
『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』 NHKの番組のテキストだが、我が家にはテレビはないため、テキストだけで楽しんだ。 アンコール遺跡研究の第一人者である石澤良昭先生の世界。 第一回「アンコール遺跡との出会い」では、他の著者では知りえない石澤先生のアンコールとの出会いについて、とても興味深く読んだ。 温厚で上品な印象の石澤先生だが、とても情熱的で素晴らしい行動力の持ち主。アンコール遺跡と出会い、研究者としての道を歩みだす。 内戦で10年以上カンボジアに訪れることのできなかった時代を経て、「カンボジア人による、カンボジア人のための修復」を実現させてゆく。 アンコール遺跡についてだけではなく、石澤先生の人生の一端にも触れることができる。 「人生にはしなければならないことがある」の言葉が印象的。
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石澤良昭著『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』。アンコール・ワット。世界史の教科書で写真に登場し、5ヶ所の尖塔の記憶は鮮やか。 しかし、それがカンボジアと言う国。クメール人がカンボジア人に受け継がれ、9世紀から15世紀の600年ほどの文化。 アンコール・トムや247...
石澤良昭著『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』。アンコール・ワット。世界史の教科書で写真に登場し、5ヶ所の尖塔の記憶は鮮やか。 しかし、それがカンボジアと言う国。クメール人がカンボジア人に受け継がれ、9世紀から15世紀の600年ほどの文化。 アンコール・トムや247体かの廃仏など、東京都23区にも相当する遺跡群の集積などと書かれると、世界史教育がいかに断片的、記憶しにくいもの、知識としての定着をさまたげてきたかと、思いめぐらす。 都城・寺院・王宮(10p)。悠久の神話と栄華の物語り(16p)。どんな小さな史実でもその意味と時代背景を考えて(29p)。 アンコール・ワットは「寺院のある・町=寺院によってつくられた・町」(30p)。 (設計者)「人間の錯覚や昂る心、心憎いトリックを使い、神への尊崇の気持ちを巧みに計算して崇高な神々の世界へ導く妙手を演出」(44p)・ 江戸時代、本邦から訪問した人のあったことを記載する。「おそらく右近太夫は、ここを『祇園精舎』だと思い込んでいたのではないか」(112p)。 ともかく本書は、背景にある壮大な世界を目の前に紹介してくれている(『NHK知るを楽しむ この人この世界』 日本放送出版協会 2007年)。
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(2007.04.09読了)(2007.01.25購入) 「アンコール遺跡」石澤良昭著、NHK知るを楽しむ、 カンボジアのアンコール遺跡に出会って、魅せられてしまい、それ以来アンコール遺跡の研究一筋の著者によるアンコール遺跡の魅力の解説。 NHK教育テレビのテキストとして書かれ...
(2007.04.09読了)(2007.01.25購入) 「アンコール遺跡」石澤良昭著、NHK知るを楽しむ、 カンボジアのアンコール遺跡に出会って、魅せられてしまい、それ以来アンコール遺跡の研究一筋の著者によるアンコール遺跡の魅力の解説。 NHK教育テレビのテキストとして書かれたので、石澤さんのこれまでの仕事の集大成になっており、一般向けなのでわかりやすくなっています。 カンボジアに平和が訪れ内戦中荒れ果てていたアンコール遺跡の修復が行えるようになり、カンボジア人の専門家の育成を兼ねた発掘によって謎が少しずつ解き明かされてゆく様子が分かります。 ●アンコール遺跡との出会い(11頁) 大学卒業のとき、予備知識もなくアンコール遺跡とじかに向き合い、圧倒され魅了され打ちのめされました。それが私の人生を決め、一からカンボジア史について、クメール文明について、そしてアンコール遺跡について学びだしたのです。(1961年) ●世界4番目の大都市(21頁) アンコールとは「都市」を意味するサンスクリット語「ナガラ」がクメール語化した名称です。現在のアンコール地方は見渡す限りの森林と田園地帯になっていますが、アンコール朝時代にはその名のとおり、ここは世界でも有数の一大都城でした。 西暦1000年頃の人口試算では、最も人口が多い都市は、スペインのコルドバ、次いで北宋の首都・開封、三番目は、トルコのコンスタンチノープル、4番目がアンコール都城、5番目は日本の京都、です。 ●アンコール・ワット(32頁) アンコール・ワットを建立したのは、アンコール朝第18代目の王、スールヤヴァルマン(「太陽王」)二世です。(1113年~50年ごろ) アンコール・ワットは「クメール版ヒンドゥー教」の寺院です。 ●アンコール・トム(66頁) アンコール・トムは、環濠と城壁に囲まれた中に中小の寺院・王宮その他様々な建造物を含んだ、時のアンコール朝の首都なのです。 アンコール・トムには、10~12世紀の3世紀に渡る建造物が混在している。 ●アンコール・ワットを訪れた日本人(108頁) 1632年、平戸の松浦藩の森本右近太夫は、商戦に乗ってカンボジアに渡り、アンコール・ワットに参詣した。アンコール・ワットに森本右近太夫の墨書が残っています。 水戸に「祇園精舎」と題する絵図面が残されていますが、これは、アンコール・ワットを描いたものといわれます。 ☆アンコールについての本(既読) 「アンコール文明論」宗谷真爾著、紀伊國屋新書、1969.09.30 「アンコール・ワット」ブリュノ・ダジャンス著・中島節子訳、創元社、1995.06.20 「アンコール・王たちの物語」石澤良昭著、NHKブックス、2005.07.30 著者 石澤 良昭 1937年 北海道生まれ 上智大学外国語学部フランス語学科卒業 専攻:東南アジア史 1982年 上智大学教授 (2007年4月22日・記)
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NHK教育テレビで2007年2月〜3月にかけて放送されている「アンコール遺跡・残された歴史のメッセージ(石澤良昭)」(『知るを楽しむ:この人この世界(全8回)』)のテキストブック。学長の優しい語り口が、読者をアンコール遺跡群の魅力に誘います。 どの回の内容も示唆に富んでいて...
NHK教育テレビで2007年2月〜3月にかけて放送されている「アンコール遺跡・残された歴史のメッセージ(石澤良昭)」(『知るを楽しむ:この人この世界(全8回)』)のテキストブック。学長の優しい語り口が、読者をアンコール遺跡群の魅力に誘います。 どの回の内容も示唆に富んでいて、新しい知識の宝庫なのですが、特に第1回、学長とアンコール遺跡の出会いから研究者として歩み出す部分に目を見張りました。初めて訪れ衝撃を受け、結局日本に帰らずフランスの「アンコール遺跡保存事務所」で臨時研究員として働き出してしまう石澤青年はすごい!です。
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