ワインの本 の商品レビュー
日本でワインの勉強しようと思ってこの本を買ったが、いくら読んでもさっぱり頭に入ってこなかった。 味覚と嗅覚と視覚を刺激するワインを、文字で学ぼうなどというのは土台無理なのだ、と思って本棚に寝かしておいた。 では、ワインの本は無意味か? そんなことはない。 でも、飲みながら読まな...
日本でワインの勉強しようと思ってこの本を買ったが、いくら読んでもさっぱり頭に入ってこなかった。 味覚と嗅覚と視覚を刺激するワインを、文字で学ぼうなどというのは土台無理なのだ、と思って本棚に寝かしておいた。 では、ワインの本は無意味か? そんなことはない。 でも、飲みながら読まなければダメなのだ、とある時、悟った。 飲んで読み、読んで飲み、という繰り返しを行うことで、いつしかこの書物が、無味乾燥な本から愛おしい書物になっていく、そんな体験をした。 最初無味乾燥に思えた文章が、ワインが舌に染み渡るように、脳に染み渡っていくのだ。 ワインも美味しい、そしてワインの本も美味しい。 折角美味しいワインを飲んでも、貧弱なボキャブラリーでは、その美味しさを自分自身に定着させることは出来ない。 「美味しい」「コクがある」「香りが良い」「フルーティ」というレベルでは、どのワインか区別が付かない。 この美味しさを何とか、自分の記憶に定着させたい。 この香りを何とか、人に伝えたい。 ワインを飲んで、そうしたやむに止まれぬ欲望を持った時に、本書は実力を発揮する。 その欲望を持った時に、開くべき本なのだ。 ソムリエが「なめし革のような香り」「腐葉土の香り」と表現するのは、それだけ嗅覚情報を脳に定着されるのが難しいからなのだ。 フランスのミシュラン星付きレストランのソムリエに、こっそりとワインの表現の仕方を伝授してほしいと頼んだことがある。 彼は、当然、「なめし革」や「腐葉土」や「草っぽい(grassy)」などの表現をお店では使うが、プライベートでは、ワインを女性に見立てて表現していた。 年代物のボルドーを「美熟女」と表し、まだ数年しか経っていない「シャサーヌ•モンラッシェ」を「ツンデレ」と表していた。 「あ、これなら、いける」と深く納得したものだ。 素晴らしいワインに出会うと、その素性を知りたくなる。 知り合った女性のことについて色々と知りたくなるのと全く同じだ。 人との出会いと同様、ワインも一期一会。 同じワインとは二度と出会うことが出来ない。 そんな人生を感じさせるワインについて、ワインを片手に本書で学ぶことは、また楽しからずや、なのだ。
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日本においてフランス料理のあじわいかたを啓蒙する役割を果たしてきた著者が、フランスを中心にワインの基礎知識をわかりやすく解説している本です。 1982年に新潮文庫に収録されるにあたり、当時のあたらしい情報を盛り込んでいるとのことですが、もちろん現在では情報の鮮度を求めることはで...
日本においてフランス料理のあじわいかたを啓蒙する役割を果たしてきた著者が、フランスを中心にワインの基礎知識をわかりやすく解説している本です。 1982年に新潮文庫に収録されるにあたり、当時のあたらしい情報を盛り込んでいるとのことですが、もちろん現在では情報の鮮度を求めることはできません。また、ワインにかんするさまざまなエピソードが紹介されているわけではなく、教科書ふうの叙述になっているので、エッセイとしてたのしむ余地も多くあるとはいえないように思います。 それでも、げんざい数多く刊行されているカタログふうのワインの案内本のそっけない叙述とは異なり、フランス料理とそれにマリアージュするワインについての豊富な知識をもつ著者が、古びることのない基礎知識をていねいに紹介していて、おもしろく読むことができました。
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辻静雄さんによるワインの解説書。1970年代にして、しかも独力でこれだけの内容を著したことは驚き。現代では、ワインに関する知識は広がっているが、当時としては理解されにくかったのではないか、と思えるほど。
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20120204読了。 ワインについての硬い知識が多め。 本の半分以上がフランス、イタリア、ドイツの地方ごとの特徴やシャトーの紹介。 ある程度の知識がないとちょっととっかかりづらいかも。
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