権力の系譜学 の商品レビュー
メモ) 1.P51 「重要なことは、真理は権力の外にも、権力なしにも存在しない、ということです。」(フーコー「真理と権力」1977) P51 そこでは、権力からの解放という図式は成立しない。 2.P55 (『性の歴史』における)フーコーの権力観は誰かが誰かに行使するものとしての...
メモ) 1.P51 「重要なことは、真理は権力の外にも、権力なしにも存在しない、ということです。」(フーコー「真理と権力」1977) P51 そこでは、権力からの解放という図式は成立しない。 2.P55 (『性の歴史』における)フーコーの権力観は誰かが誰かに行使するものとしてのホッブズ的権力観ではなく、個々の主体を超越した戦略 Stratégie である。全体の戦略を意図した主体を特定することはできない。 cf.113 ある人が別の人の行動を左右するという二項的対立関係=「支配」 <「私が言いたいのは、全てが悪いということではなく、どれも全く同じだけ悪いわけではないが、全てが危険だということだ。もし全てが危険だとすれば、われわれはいつも何かをしなければならない。だから私の立場はアパシーをではなく、過剰で悲観的な活動主義(hyper- and pessimistic activism)を導く」。すなわち、フーコーは、ただ現在の主体のあり方に対して異議申し立てをするために、それが唯一可能なあり方ではないことを(他の形態を挙げることで)示すにすぎない。そもそも彼は新しい権力を批判するに際して、それとは別の何らかの「正しい」状態を想定しているわけではない。とにかく今のこの権力は耐え難い。次の権力ができれば、それもまた耐え難いかもしれない、ということである。かくして、一種の永久運動のイメージがあらわれる。それは、普遍的な真理にもとづく「革命」ではなく、アド・ホックな「抵抗」の連鎖である。>P60-61 <したがって、われわれはかつてのように「王様の首」を斬るだけでは充分でなく、それぞれのローカルな現場において抵抗を繰り広げて行かなければならない、とフーコーは主張する。>P61 <諸々の解放理論の主張が、「いつかは外に出られるから革命せよ」であるとすれば、フーコーの主張は、「けっして外には出られないから抵抗し続けよ」であるということができよう。…フーコーは、抵抗の契機というものはどのような場面にあっても、つねに潜在的には存在していると強調した。「わたしは権力という実体に、抵抗というひとつの実体を面と向かわせるわけではありません。たんに、権力関係があるからには抵抗の可能性がある、といっているだけなのです。わたしたちは決して、権力によって罠にかけられているわけではありません。いつでも、一定の条件内で、明確な戦略にしたがって、権力の企図を変えられるのですから」と彼はあるインタヴューで述べている。>P74 3.人間主義的なカントと、啓蒙的なカント <カントの『三批判』が、ここから先は越えられないというギリギリの限界を明らかにしようとしたとすれば、われわれはむしろ、ここは超えて良いという領域(つまり、単に恣意的に制約として存在しているにすぎない部分)を探る積極的な探求をすべきである。>P96 P112 「問題は、完全に透明なコミュニケーションというユートピアの中に権力関係を解消しようとすることにあるのではなく、法的規則や管理技術、そして道徳(morale)、エートス、自己の実践を自らに与えること。そうすれば、権力ゲームの中で最小限の支配でプレイできるようになるのです。」 4.P140 トクヴィルのデモクラシー批判―「多数者の専制」の危険。「社会構造の多元化の重要性」 第1章 政治における「近代(モダン)」と「脱近代(ポストモダン)」 近代の風景(監視と処罰/身体の改造/消費機械) 近代の政治(国家という装置/労働者の誕生/政治の規格化) 脱近代の構図(「近代」批判/近代の「利得」/「近代の超克」?) 第2章 ミシェル・フーコーと政治理論 フーコーの仕事(「考古学」と「系譜学」/権力/ローカルな抵抗と知の分散化) フーコーをめぐって(近代の人間主義への評価の問題/フーコーの立場の規範的基礎づけ/フーコーの言説の地位/抵抗の拠点をめぐって) 第3章 啓蒙と批判――カント、フーコー、ハーバーマスについての断章 啓蒙主義者フーコー/道徳と討議倫理/自由の実践としての倫理/倫理と権力/結びにかえて 第4章 リベラル・デモクラシーのディレンマ――R・ダールをめぐって デモクラシーとリベラリズム/ダールと多元主義/ダールとデモクラシー/ダールと政治的なるもの 第5章 アイデンティティと政治 リベラル―コミュニタリアン論争の焦点/多文化主義とリベラリズム/多文化主義とコミュニタリアニズム/ポストモダニズムとアイデンティティ/結びにかえて
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