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流雲 の商品レビュー

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2011/11/06

三世紀中葉の出雲。 かつて英雄素盞鳴の力によって成立した連合体の盟主は、調和と民の繁栄を重んじる大穴牟遅に引き継がれていた。 しかし、列島最大の勢力・竺志は、豊かに育った出雲をそのままにしておくことはなかった。素盞鳴の出雲統一を支援し、農業技術者の少名毘古那を派遣するなど、両者の...

三世紀中葉の出雲。 かつて英雄素盞鳴の力によって成立した連合体の盟主は、調和と民の繁栄を重んじる大穴牟遅に引き継がれていた。 しかし、列島最大の勢力・竺志は、豊かに育った出雲をそのままにしておくことはなかった。素盞鳴の出雲統一を支援し、農業技術者の少名毘古那を派遣するなど、両者の仲は元来良好だったが、竺志は、鉄資源の確保など、朝鮮半島での利権拡大のための戦いに用いる兵士や食料の供給地として出雲を欲したのである。 竺志から政治の仕組みについての技術を伝えるため派遣されていた天若日子は、実は出雲乗っ取りの密命を竺志王・高御産巣日から受けた工作員でもあった。出雲へのつけいる隙を見出せないまま年月は過ぎ、また自らが出雲の王たらんとする野心を抱いたことによって若日子は滅ぶ。 若日子の謎の死は、出雲の指導者たちに少なからず動揺と疑念を抱かせた。出雲東部に位置する、能義の王・天比良鳥も、疑念を持ったひとりである。 そんなとき、竺志からの使者が能義を訪れる。 能義は先代の王・天菩比が国を建てる際、竺志から協力を得る条件として毎年貢物を収める約束をしており、わずかながらの繋がりがあった。使者の用件とは、比良鳥を震撼させるものであった。 「そもそも出雲は、我等が天一族にして、我等が御子、正勝吾勝勝速日天忍穂耳尊が統べ治めるべき国である。我等もようやく準備が整った故、まもなく受領のための人を送る」 組織とは何か。愛する家族と国を守るとは何か。出雲を襲う未曾有の危機の前に、比良鳥の葛藤と戦いが始まる。

Posted byブクログ