「知」の欺瞞 の商品レビュー
個々の批判内容よりも、本職の物理学者が考える科学哲学的論点の主張が読み応えがある。「第一の間奏」、「第二の間奏」がお勧め。
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これは面白い。ソーカル事件自体がかなりの秀逸なイベント性とメッセージ性があるに加え、その解説としての本書の快刀乱麻の突っ込みには快感としか言いようがない。特にラカンとドゥルーズの例文は、極端なものとしてもさっぱり理解できなくこちらがバカなもので・・・と自己嫌悪したところへやおら救...
これは面白い。ソーカル事件自体がかなりの秀逸なイベント性とメッセージ性があるに加え、その解説としての本書の快刀乱麻の突っ込みには快感としか言いようがない。特にラカンとドゥルーズの例文は、極端なものとしてもさっぱり理解できなくこちらがバカなもので・・・と自己嫌悪したところへやおら救いの解説が入る痛快さ。あらゆる攻撃に備え、論理のやぐらを組みまくる科学者らしい狡猾さ。最終章ではジョンレノンばりの詩的なメッセージ表現で感動すら呼ぶ。浅田彰とかはどう思うんだろう?
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http://ocw.kyoto-u.ac.jp/general-education-jp/introduction-to-physics/html/physics/sokal1.html
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フランスの権威ある哲学者たちに、アメリカの物理学者がストレート・パンチを食らわせた爽快な一撃! ポストモダンやポスト構造主義といった、マルクス主義以後の新しい哲学と実践を模索していた時代、難解な専門用語を振り回し、そこに数式や物理学の法則まで持ち込んで、さらに話をややこしくし、...
フランスの権威ある哲学者たちに、アメリカの物理学者がストレート・パンチを食らわせた爽快な一撃! ポストモダンやポスト構造主義といった、マルクス主義以後の新しい哲学と実践を模索していた時代、難解な専門用語を振り回し、そこに数式や物理学の法則まで持ち込んで、さらに話をややこしくし、知的な雰囲気を振りまいていたフランスの哲学者、ジャック・ラカン、クリステヴァ、ポール・ヴィリリオ、ジル・ドゥルーズといった連中に対して、アメリカの物理学者ソーカルが、その科学的な装いの不正確さを一つ一つ執拗にあげつらい、ポストモダンの衒学的なタワゴトのデタラメさを白昼のもとに暴き出し、徹底的に叩きのめした。 何を隠そう、その頃オレは、まさにドゥルーズやクリステヴァやポール・ヴィリリオの難解な言い回しを、分けも分からずに有り難がって読んでいたという・・・・。 バカである! 連中は、現代のソフィストだった。 そして、この書物を通じて、流行の思想に乗っかってしまうことのダメさを痛いほど思い知らされた。 もー騙されない! ただし、ソーカルは単なる理系のギークであって、彼にイデオロギーはない。 科学者として、科学的な記述の間違いを指摘しただけであり、思想的な意図に基づく攻撃ではない。 彼はロラン・バルトやフーコーは批判していないし、社会科学や人文科学の重要性を認めている。
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難解です。諭されました。自然科学者(数学者や物理学者)にも社会科学者(哲学者など)にもなれない理由がよくわかりました。例え話やメタファー(暗喩)に科学的専門用語を使うときは気をつけます。伝わり方を制御できなくなりますので。
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ソーカル事件の顚末を含め,哲学・思想業界における自然科学用語の不当な氾濫を糾弾する本。衒学を見抜けず,なんか高尚なこと言ってるな…と感心してしまうのは悲しいので,こういう例に学んでおきたい。
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ポストモダン系エセ哲学者達の知ったかぶり・ごまかし・知的傲慢さ・知的不誠実さは、自然の事実に対して謙虚で正直であることを信条とする自然科学者から見れば堪え難いもの。本書はポストモダンの言説の「まやかし」的修辞に限って批判を展開する。その左翼イデオロギー性に対する批判は控えられてい...
ポストモダン系エセ哲学者達の知ったかぶり・ごまかし・知的傲慢さ・知的不誠実さは、自然の事実に対して謙虚で正直であることを信条とする自然科学者から見れば堪え難いもの。本書はポストモダンの言説の「まやかし」的修辞に限って批判を展開する。その左翼イデオロギー性に対する批判は控えられている。また科学的真理の相対主義的解釈への批判も展開されている。
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『だまされない議論力』吉岡友治 の巻末の読書案内に出ていたもの。そのうち読む予定-「ポストモダンの言説のインチキ性をスキャンダラスに暴いた書物。賛否は色々だが」 これは「ソーカル事件」といって、わざとデタラメな話を学術雑誌に載せたら、査読通って掲載されてしまった事件のことだね。『...
『だまされない議論力』吉岡友治 の巻末の読書案内に出ていたもの。そのうち読む予定-「ポストモダンの言説のインチキ性をスキャンダラスに暴いた書物。賛否は色々だが」 これは「ソーカル事件」といって、わざとデタラメな話を学術雑誌に載せたら、査読通って掲載されてしまった事件のことだね。『ウソの歴史博物館』p.262にも載っている。賛否は様々だそうだが、賛は理系で否は文系じゃないだろうかと予想していずれ読んでみよう。
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目次 1.はじめに 2.ラカン 3.クリステヴァ 4.第一の間奏——科学哲学における認識的相対主義 5.イリガライ 6.ラトゥール 7.第二の間奏——カオスと「ポストモダン科学」 8.ボードリヤール 9.ドゥルーズとガタリ 10.ヴィリリオ 11.ゲーデルの定理と集合論——濫用の...
目次 1.はじめに 2.ラカン 3.クリステヴァ 4.第一の間奏——科学哲学における認識的相対主義 5.イリガライ 6.ラトゥール 7.第二の間奏——カオスと「ポストモダン科学」 8.ボードリヤール 9.ドゥルーズとガタリ 10.ヴィリリオ 11.ゲーデルの定理と集合論——濫用のいくつかの例 12.エピローグ 難しすぎ、第一の間奏と第二の間奏のみ読了。 異なるフレームワークのものを難解な学問から得られた理論等に無理矢理解釈されて理解するのは危険。ウソがないか疑ってかかるべきである。
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ソーカル事件をほぼリアルに見た世代としては、懐かしく眺めました。 英語版をずいぶん昔に読みましたが、今回はじめて邦訳を眼にしました。 文芸用語の翻訳にとても四苦八苦している様子がうかがえます。 でもこの本は出ないほうが、面白かったなあ、正直。 『Transgressing th...
ソーカル事件をほぼリアルに見た世代としては、懐かしく眺めました。 英語版をずいぶん昔に読みましたが、今回はじめて邦訳を眼にしました。 文芸用語の翻訳にとても四苦八苦している様子がうかがえます。 でもこの本は出ないほうが、面白かったなあ、正直。 『Transgressing the Boundaries』を「あはは、うまい、うまい」とニヤニヤ笑うほうが読者としては楽しかったです。 「人文学者としちゃ、あんたら大したモンなんだろうけど、数学なめんなよ」がソーカルの心情だったんじゃないかなあ、と。
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