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ブッダの方舟 の商品レビュー

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2018/06/23

宗教学者の中沢新一と、作家の夢枕獏、そして中沢の弟子で僧籍をもつ宮崎信也らのあいだで交わされた対談・鼎談を収録しています。 とくに本書の最後に収められている、中沢と宮崎の対談が興味深く感じました。それでもやはり引っ掛かってしまうのは、この世界は実相としては「無」ではあっても、「...

宗教学者の中沢新一と、作家の夢枕獏、そして中沢の弟子で僧籍をもつ宮崎信也らのあいだで交わされた対談・鼎談を収録しています。 とくに本書の最後に収められている、中沢と宮崎の対談が興味深く感じました。それでもやはり引っ掛かってしまうのは、この世界は実相としては「無」ではあっても、「有への意志、有への欲望が世界をつくりなしている」という中沢の発言です。おそらく中沢は、大乗仏教が否定神学的な言語ゲームに終始してしまうことに危惧を抱いており、あえて大乗仏教を「有」の哲学として解釈するような見方を強く押し出しているのだろうということは、いちおう理解できないことではありません。しかし、その「有」すなわち「存在への意志」を身体という次元に回収してしまうのは、この日本で思想を語る論者たちが陥りがちな通弊ではないかという気がしています。 わたくしには、たとえば「脳化」=「都市化」を批判する養老孟子や、構造主義的な発想をたくみにあやつっていた内田樹も、本書で中沢がかぎりなく接近してしまっているのとおなじ問題に陥っているように見えます。

Posted byブクログ