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魚の目きき いま、ほんものを食べなさい の商品レビュー

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2011/07/18

なんでお姉ちゃんは目えまで食べはるのに、ウチは気持悪うて食べられへんの? そう言って、3つか4つの私は、近所の親戚の年上の従妹の、お皿の上に骨だけしか残らないようなお魚の食べ方を羨ましがって、自分がそうできないことを悔しがって、地団太踏んで父や母を困らせたらしいです。 そんな...

なんでお姉ちゃんは目えまで食べはるのに、ウチは気持悪うて食べられへんの? そう言って、3つか4つの私は、近所の親戚の年上の従妹の、お皿の上に骨だけしか残らないようなお魚の食べ方を羨ましがって、自分がそうできないことを悔しがって、地団太踏んで父や母を困らせたらしいです。 そんなことないやろ、ほら、これやったらなんぼでも全部丸ごと食べられるでェ、 といって餡子のいっぱい詰まったタイ焼きでもくれるのが一端の親の愛情というものでしょうが、我が家は違います、敵もさる者、なんと、その解決策として手渡されたのが本書なのです。 信じられなかったです。年端もいかない子供に、「魚は氏と素性で味が違う!築地魚がし60年 伊藤勝太郎口伝」と銘打たれた、それこそ大人が読んでも読み応えがある魚の専門知識の本を与えるなんてことがあるものですか。 いわく、魚のことを徹底的に知ることによって、その攻略方法もわかるというものだ。 その口車に上手く乗せられて、まだ字もまともに読めない頃から取り組んだせいか、小学生に上がる頃には、なんかこの子はやけに魚のこと詳しいなァなどと言われるようになり、魚の鮮度の見分け方やさばき方、美味しい食べ方から料理の仕方まで近所のお母さん方に指南するまでになってしまいました。 何の因果か、もちろん高校生になって選んだバイトは、卸売市場の魚屋さん。朝まだ暗いうちから魚まみれになって、手というか指の感覚が麻痺する冷たさを味わいながら、そして身体中が魚臭くなって、それは電車に乗っていても皆がサーッと離れて行ってしまうくらいの異臭だったらしいのですが、本人は慣れてしまっていたのかあんまり気になりませんでしたが。 ともかく、目次は愛魚女(あいなめ)から始まり眼張(まばる)に終わる「あいうえお順」でリストアップされ、頁をめくると「春の鮮魚」の鯛から始まり「冬の鮮魚」の鰈(かれい)で終わる徹底した解り易い分類方法でアプローチされ、そしてリアルなタッチのイラスト入りで理解力を補ってくれる本書によって、刺身のつくり方、焼き魚のつくり方、貝の扱い方、エビの扱い方など魚介類のすべての知識・買い方・料理方法・美味しい食べ方までを伝授してもらった恩ははかりしれません。 おそらく、和食の板前さんや市場の魚屋さんと勝負しても負けない技量が身についていることは間違いないと思います。 かつて高校生のときに、山谷でバイトするために東京を訪れた折、築地市場へ行くことを忘れなかったのはもちろんのことです。朝まだうす暗い市場でセリの声が木霊するのをうっとりと聞いたのは昨日のことのようです。

Posted byブクログ