音楽のたのしみ(1) の商品レビュー
◆フランスで放送されていたラジオ番組での対話をまとめた一冊。「音楽のたのしみ」は「音楽の要素」のうえにどのように築かれているのかという問いのもと、音楽をつくる楽器、リズムや調性といった要素、コンチェルトやソナタといった形式など、ごく基本的な”決まり”の背後にある精神を明らかにし、...
◆フランスで放送されていたラジオ番組での対話をまとめた一冊。「音楽のたのしみ」は「音楽の要素」のうえにどのように築かれているのかという問いのもと、音楽をつくる楽器、リズムや調性といった要素、コンチェルトやソナタといった形式など、ごく基本的な”決まり”の背後にある精神を明らかにし、そのうえで批判の集まりがちな近代音楽のたのしみがどのようにして可能になるのかという大問題に首を突っ込んでいる。 ◆この本の著者でもあるロラン=マニュエルは、音楽のたのしみ(戯れ)は形式という決まりの上にあると考える。しかし、対する「お嬢さん」のナディア・タグリーヌは、より感覚的な部分があるではないかと問いかける。この立場の違いは終始変わらないように見えるけれど、そのナディアが存在することによって、読者(わたし)は「音楽のたのしみとはなにか、それを構成するのはなにか」という問題に接近できる。音楽のたのしみ、不思議の世界。 * 感想 * ◆両者(あるいは毎回登場するゲスト)の考えの違いを意識しながら、ざっくり読み進めると面白いのではないかと思う。私が読みながら感じたのは、「ロランが”規則によって音楽がつくられる”と考えるならば、その規則を壊すようにして現れた近現代音楽をどう評価するか」ということでしたが、この点も後半で触れられていてよかった。解決はしていないけれど。
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