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厨子家の悪霊 の商品レビュー

3.8

15件のお客様レビュー

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2009/10/04

収録されている昭和22年の短編推理「虚像淫楽」に「小説の中ばかりでなく、実際の人生に於ても、吾々は屡々自己中心の錯覚を起こし易いのだが、この世にはまったくの脇役という人間は存在しないのだね。すべての人が主人公で、すべての人が脇役だ」との科白がある。当然の理だが、それゆえにこそ、人...

収録されている昭和22年の短編推理「虚像淫楽」に「小説の中ばかりでなく、実際の人生に於ても、吾々は屡々自己中心の錯覚を起こし易いのだが、この世にはまったくの脇役という人間は存在しないのだね。すべての人が主人公で、すべての人が脇役だ」との科白がある。当然の理だが、それゆえにこそ、人の非情に意を払わせ、小説に没入することを妨げる構成となり、山田風太郎の小説が奇想めいて見えてしまうもととなる。読者が知るのは、小説と名はついているが、からくり舞台であり、そこに現れる人物は、仕掛けに応じて消えていくものに過ぎず、舞台の雑駁な進行とお終いを見て、読者もまた脇役であり、主人公であると知る。ニヒリズムという筋書きに浸ることを許容することで、読者に優しかった忍法帖シリーズ以外の働きは上記通り、それゆえ、読み深めると、字数の制限のため、からくりだけが素描されているような作品の愉しさが理解いただけるだろう。たとえば、この本の中では「殺人喜劇MW」「天誅」が当たる。映画か2時間ドラマにすれば受けそうなのが「死者の呼び声」。戦後復興期の日本と敗戦時社会の舵取りに携わっていなかった若い世代の心理を肉付けすれば、堂々たるものができそうです。文章もさらっとしてお奨め。書き上げたとき、風太郎先生もちょいとばかりすっきりしたのではないか。作者である自分をうまく消し去ったので。いや、うまく脇役に配したというべきか‥

Posted byブクログ

2009/10/04

正直、表紙が僕の好みではなかったので読んだことの無い人の作品だったら買わなかったかも。 しかし、内容はかなり素晴らしい・・・。ヤラレタ。。。 今まで山田風太郎は『甲賀忍法帖』位しか読んだことが無かったので(イヤあれは凄い面白かったんだけどネ)、推理小説となるとどうなの?てのがあっ...

正直、表紙が僕の好みではなかったので読んだことの無い人の作品だったら買わなかったかも。 しかし、内容はかなり素晴らしい・・・。ヤラレタ。。。 今まで山田風太郎は『甲賀忍法帖』位しか読んだことが無かったので(イヤあれは凄い面白かったんだけどネ)、推理小説となるとどうなの?てのがあって、推理小説でもなんかユーモラスな感じのやつかナとか思ったりもしてたんだけども・・・。 有り難い裏切りをモロにくらい、感謝感激。 『厨子家の悪霊』『眼中の悪魔』『虚像淫楽』『死者の呼び声』が特に面白くて、どれも甲乙つけがたいのよね・・・。 それくらい傑作揃い。まさに粒選りの短編集。 『眼中の悪魔』と『死者の呼び声』は(心理的犯罪)がテーマになってるんだけど、こういう事は深い浅い関係なしに一度は皆考えたりした事あるだろうし、勿論自分もそうだし、なかなか興味深かったデス。

Posted byブクログ

2009/11/25

表題作は二転三転四転五転くらいするので、 えー??ってなりながらもぐいぐい読み進めてしまいます。 あと「眼中の悪魔」も面白かった。

Posted byブクログ

2009/10/04

長編を支えられるネタを短編に詰め込んで読者を驚愕させる“厨子家の悪霊”を始め、奇想や構成の巧みさに感服する傑作短編集。山田風太郎は類い希なるミステリ作家だと実感させられた。

Posted byブクログ

2009/10/04

なんとまぁ…奇想奇想の数々。どれもこれもとんでもないトリック、ロジック、ミスディレクション。読んでるだけで楽しくなってきちゃうというか騙されることが快感になってくる感じ。お気に入りは全部。特に眼中の悪魔と厨子家の悪霊かな。

Posted byブクログ