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地図のない道 の商品レビュー

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2022/09/13

決して明るいトーンの話ではないのに、淋しさ、寄る辺なさ、寒さ、心もとなさに充ちた描写なのに、何故か安心する。とても静かな気持ちになる。 この人も大阪の出身だったのか…。最近、大阪の女性作家の作品ばかり読んでいる。

Posted byブクログ

2014/03/04

大事な人を失って、ぽっかり空いた心で何かを探し求める、地図のない道。イタリア、ヴェネツィアの、セピア色の写真のアルバムをゆっくりめくるような本。

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2011/05/14

ベネツィアの町をあてどもなく歩きながら、 この本で書かれていた場所はどこだろうと考えていた。 欧州には秘められた話じゃなく、 こんな物語が点在している。 須賀さんの本のなかでも好きな本の一つ。

Posted byブクログ

2010/05/14

美しい文章で生きるとは何かを追った人《赤松正雄の読書録ブログ》  「夏草のあいだを流れる運河の水に、夕焼けがうっすらと一日の名残の色を映しはじめる時刻だった」  「サフランの色に暮れかかった水平線に、水滴のような明かりがぷつんと現れて、少しずつ大きくなった。きっと、ヴェネツィア...

美しい文章で生きるとは何かを追った人《赤松正雄の読書録ブログ》  「夏草のあいだを流れる運河の水に、夕焼けがうっすらと一日の名残の色を映しはじめる時刻だった」  「サフランの色に暮れかかった水平線に、水滴のような明かりがぷつんと現れて、少しずつ大きくなった。きっと、ヴェネツィア行きの最終便だ」―イタリアを舞台に数多くの作品を残した作家で、聖心女子大教授だった故須賀敦子の文章は、限りなく美しい。光と音で描写された風景は鮮やかに立ち現れ、読むものの記憶の枝葉にくっきりと刻印される。  彼女の最晩年の作品である『地図のない道』を再び開くことになったのは、生物学者の福岡伸一さんの勧めによる。たまたま見たDVD「私の一冊 日本の百冊」の10分間は、遠い日に別れた恋人を思い起こさせてくれるようだった。 福岡さんは、紙きり虫や蜂の巣の模様をこよなく愛した昆虫少年だった。どこかいびつで揺らいだような自然が作り出す世界にのめり込み、長じて生物学者の道に入った。命とは何か、世界はどう成り立っているのかを文学者、言語学者として追い続けた須賀敦子に深い共感を持ちつつ、その読後感を披露して見せてくれた。収穫だった。  滅多に二度読むことのない本を読み終えて今思うのは、彼女は人間にとっての宗教の持つ意味を追い続けた人だったということだ。水が充ちてくるのを待ちながら、その時を待たずして亡くなった須賀敦子。真正面から宗教について書かなかったため、残された私たちは想像力を一層掻き立てられ続ける。  文章修行と信仰修行が共に果てしなき道であることを改めて思い知らされ、私は背筋を伸ばし、居ずまいを正す。

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