レーン最後の事件 DRURY LANE'S LAST CASE の商品レビュー
2023年7月28日読了。探偵のサム警部のもとを訪れた謎の訪問客と、シェークスピア初版本を巡る奇妙な盗難騒ぎ…事件の真相と真犯人の正体とは?独特の雰囲気で『X/Y/Zの悲劇』の事件を解決してきた老俳優ドルリー・レーンが手掛ける最後の事件。なんというか、ちょっと雰囲気がゆるいという...
2023年7月28日読了。探偵のサム警部のもとを訪れた謎の訪問客と、シェークスピア初版本を巡る奇妙な盗難騒ぎ…事件の真相と真犯人の正体とは?独特の雰囲気で『X/Y/Zの悲劇』の事件を解決してきた老俳優ドルリー・レーンが手掛ける最後の事件。なんというか、ちょっと雰囲気がゆるいというか連発する事件が妙にドタバタしていて物語にうまく浸れなかった、ペイシェンスとローの恋物語は「謎解きの本筋が弱い」ことを作者自身分かっていたがゆえの読者サービスなのか?事件終盤の謎解きは「直前の謎解きを伏線として、最後に大掛かりなどんでん返しを仕掛ける」というもので、「なるほどこれが四部作の大団円なのか!!」と考えてみるとそれなりに趣深いとも言えるが、読んでいる当方がミステリに慣れすぎてしまったからか、発表当時の読者と同じような気持ちでは衝撃を受けることはできなかったかな。
Posted by
この感動はX, Y, Zを読了した者にしか味わえない。 そして間違いなくその価値がある裏切りである。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
言葉が出ないほどのカタルシス。 前三作を読んでない人は絶対に読んではいけない作品だろう。 まず、前三作よりは弱いが、ロジックは相変わらず面白い。 特に色盲などの論理は秀逸。レーン氏の移動時間など少し疑問は残るが、犯人が聾というのを求める論理も良い。 そしてそれに加え、やはりストーリー性。 四部作のクライマックスを飾るあのラストは深い感慨を抱かざるを得ない。 自然溢れる中に聳え立つ古城、"ハムレット荘"に住む引退した舞台俳優。鷹揚な性格ながらもときに厳しく、聾でありながらも読唇を駆使して意思疎通をし、明晰な推理で事件を解決に導く。 しかし、その底にあるのは苦い人間味。 ドルリー・レーン四部作は、芸術品だ。
Posted by
Xの悲劇、Yの悲劇、Zの悲劇とドルリー・レーンの解き明かす謎を楽しんできました。この物語の最後に近づくにつれ、もしかして!?いや、いや、そんな事はない…でも…と複雑な心境。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
残念ながら本書(というか、本シリーズ)のトリックは、承知の上で読んだので、あのオチに、どう着地するのか、という関心で読み進めるたわけです。 その観点からすると、やっぱりうまいですね。伏線の張り方とか、ひっくり返すタイミングとか。比べると、最近のミステリーって、むやみに何回もひっくり返し過ぎ。 ただ、承知してると思っていた、レーン像と、実際が少し違っていたので、ちょっとびっくりしました。 レーンは、もうちょっとピカレスクな感じのイメージだったので、なんだ、最後まで誠実でいい人だったじゃん!って。 ネタバレが先行して、変なイメージが広まってしまっているんでしょうか。私の周りにもネタは知ってるけど読んだこと無いって言ってる人っ結構多い。 是非一度原典に。
Posted by
本作は大英帝国博物館に勤務する警備員の失踪と、消えたり現れたりする古書の謎を追う話ですが、終盤まで緩い展開が続くのであまりパッとせず、前三作と比べると劣る印象です。 ラストの衝撃度は抜群ですが、帯の謳い文句やタイトルで何となく察しがついてしまうのは残念なところです。 ただ、前三作...
本作は大英帝国博物館に勤務する警備員の失踪と、消えたり現れたりする古書の謎を追う話ですが、終盤まで緩い展開が続くのであまりパッとせず、前三作と比べると劣る印象です。 ラストの衝撃度は抜群ですが、帯の謳い文句やタイトルで何となく察しがついてしまうのは残念なところです。 ただ、前三作のあるシーン、ある台詞、ある行動がペーシェンスの推理に集約される趣向は秀逸。シリーズの締めくくりとしては最高だと思います。
Posted by
悲劇4部作の最後を飾るにふさわしい傑作。衝撃のラスト、ペイシェンスが活躍しています。なぜ最後なのかがよくわかります。
Posted by
この時代のミステリなので、事件に関係が薄い人物描写やエピソード(登場人物同士の恋愛とか)が少ない一方で、当時のエラリーは「フェアプレー」(結論に至る根拠をすべて文中に散りばめてある)を謳っていたので、現代のミステリに比べると理屈っぽいのですが、論理的な可能性の膨らませ方と収束のさ...
この時代のミステリなので、事件に関係が薄い人物描写やエピソード(登場人物同士の恋愛とか)が少ない一方で、当時のエラリーは「フェアプレー」(結論に至る根拠をすべて文中に散りばめてある)を謳っていたので、現代のミステリに比べると理屈っぽいのですが、論理的な可能性の膨らませ方と収束のさせ方、そして最後に一気に結論に達してすべてを整合させる技はさすがです。日本語解説にある通り、初めに本書の構想があってからXYZが作られたのでしょう。
Posted by
レーン四部作の最後を飾る作品。 ブリタニック博物館に陳列される予定だったシェークスピアの初版本を巡る陰謀と殺人。シェークスピアの専門家でもあるご存知ドルリー・レーンが、最後の事件に挑む。 事件がシェークスピア絡みとあって、かつての元気を取り戻したかのように活躍するレーンを見る...
レーン四部作の最後を飾る作品。 ブリタニック博物館に陳列される予定だったシェークスピアの初版本を巡る陰謀と殺人。シェークスピアの専門家でもあるご存知ドルリー・レーンが、最後の事件に挑む。 事件がシェークスピア絡みとあって、かつての元気を取り戻したかのように活躍するレーンを見ることができる。前作では語り部だったペーシェンスにも探偵としての役割が与えられているし、サム警部や初登場のゴードン・ローにもそれぞれ見せ場がある。ペーシェンスに関しては、本作での活躍を想定して前作から出していた可能性もある。 トリックは特に難しいものではなく、ミステリーとしてはXやYに一歩及ばないものの、伏線の張り方はとても丁寧。ドルリー・レーンの物語を締めくくるにふさわしい出来と言えるだろう。
Posted by
4作続けて読んできたので、シリーズが終わってしまうという惜しさと、作品自体の意外な結末に、読んだ後はかなりショックを受けた。しかしながら自分にとって大切な作品であることには変わらない。
Posted by