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肉体の悪魔 の商品レビュー

3.9

48件のお客様レビュー

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2023/12/03

戦時の最中における、少年と若い人妻の性愛 時代背景や不倫関係などから来る罪深さが、より愛の強さを浮き彫りにする。 これほどまでに感情の起伏や揺れが赤裸々であるが、生々しい描写が一切ないのに素晴らしさを感じる。 欲求に純粋であればあるほど、人は非道であり、そこに文学と美しさがあ...

戦時の最中における、少年と若い人妻の性愛 時代背景や不倫関係などから来る罪深さが、より愛の強さを浮き彫りにする。 これほどまでに感情の起伏や揺れが赤裸々であるが、生々しい描写が一切ないのに素晴らしさを感じる。 欲求に純粋であればあるほど、人は非道であり、そこに文学と美しさがある。

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2023/05/13

満足 その時代を生きながらにして、その時代にいる自分を描くのは大変な功績だ。 彼は「戦争が自分を子供でいることを許さなかった」と書いているが、果たして彼以外にこれが書けただろうか。 もはや年齢の問題ではなさそうだ。

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2023/04/27

これを18の時に書いたというラディゲは天才だ。自分が当時17歳頃に本作を読んだのだがその時は著者の才能に激しく嫉妬した。今読むとまた違う印象を受けるのだろうか?一人暮らしする際に持っていた本を売ってしまったがまたいつか再読したい

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2022/04/06

最初は引き込まれるものがあったがどんどん訳が何を言ってるのかわからなくなり途中でつまらないから読むのをやめた。

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2021/09/12

これもそんな「恋」をしてみたいという時期(若さゆえに恋におちる時と申そうか)に読みたくなる本ではあるが、ほんとうにわかるのは年経て後。 なぜならば物語の諸所に挿入されているフレーズが、まるで人生老いた人の御託のごとくである。恋愛の指南書的なところがいちいちうなずいてしまうのであ...

これもそんな「恋」をしてみたいという時期(若さゆえに恋におちる時と申そうか)に読みたくなる本ではあるが、ほんとうにわかるのは年経て後。 なぜならば物語の諸所に挿入されているフレーズが、まるで人生老いた人の御託のごとくである。恋愛の指南書的なところがいちいちうなずいてしまうのである。 この本の価値は内容が16歳の少年が、20歳の人妻に恋をし、それなりに堕落(懐かしい響き)していくさまを18歳の天才、レイモン・ラディゲが書いて、本人は20歳で死んでしまったということにありそうだ。 が、そのセンセーションな生涯を抜きにしても、フランス心理小説の雄(ゆう)たる所以のうまさが在る作家なのだ。多分多くの作家が影響を受けていると思う。 私が読むきっかけとなったパティさんの感想をごらんあれ、パティさんぐらいの時代に読むのがよいだろうとつくづく思った。 だから、感想はこのくらいにして私の書きたかったことは下記。 パティさんのを読んで私は思い出した。「ラディゲ ラディゲ…」忘れもしない堀辰雄の「美しい村」 の「序曲」に印象深く登場するのだ。 手紙文にてラブレター。書いている場所は軽井沢、季節は夏場の前の6月、人が来ていなくて寂しいことは寂しいが、野ばらがそそと咲きにおっておくゆかしい。 机の上にマダム・ド・ラファイエットの「クレイヴ公爵夫人」が読みかけのまま開いてある。その本はあなたに無理やりお読ませしたラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」のお手本なのだ。 とある。実はこの「序曲」高校の現国の教科書にあったのだ。無味乾燥な教室でこの一文に接した私はイチコロとなった。 読んだ読んだ。「風たちぬ」「ドルジェル伯の舞踏会」「クレーヴの奥方」みんな新潮文庫の古いもの。その中に「肉体の悪魔」もあって(今回見つけた)それだけは読んでいなかったのが不思議といえば変。(若き羞恥が避けたとでも?) 「ドルジェル」「クレーヴ」のすじはすっかり忘れてしまったけれど、今「肉体の悪魔」を読了し、ラディゲの作品が堀辰雄にそこはかとない影響を与えているのがわかる。心理小説での表現を思い「風たちぬ」(内容はぜんぜん違うが)のなりたちを考える。 「美しい村」の次に書かれた「風たちぬ」、これこそそのころの私を魅了した恋愛小説である。 「風たちぬ、いざ生きめやも」 ちょっと辻邦生に似て、時のうつろいのなかに真実をみつめ、変らないものに恋をして。 この本(堀辰雄)はもう読まれないのだろうか…。 私は「ドルジェル伯の舞踏会」「クレーヴの奥方」も再び読みたい。

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2021/04/19

大学のフランス文学講義の予習で読みました。 フランス文学は人間の内面を緻密に表象していくのが特徴的ですが、「肉体の悪魔」では感情をどこか俯瞰したような機械的な描写で内容が濃かったです。 マルトと僕のお互いのバランスの駆け引きが一文で記されたりしますが、何倍も時間をかけてじっく...

大学のフランス文学講義の予習で読みました。 フランス文学は人間の内面を緻密に表象していくのが特徴的ですが、「肉体の悪魔」では感情をどこか俯瞰したような機械的な描写で内容が濃かったです。 マルトと僕のお互いのバランスの駆け引きが一文で記されたりしますが、何倍も時間をかけてじっくり読みました。 主人公「僕」もそんな語り方の癖を自覚しているかのように、このように語っているのが面白いです。 『父の首尾一貫しない行動の理由を知りたいという人のために、僕が3行で要約してあげよう。最初は僕を好き勝手に行動させておいた。次にそのことを恥じて、僕よりむしろ自分に腹が立ち、僕を脅した。だが結局、怒りに流されたことを恥じて、僕の手綱を緩めたのだ。』

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2020/10/27

早熟で完成されたラディゲの文体に対し、少年の稚拙な行動や発言にはどこか乖離があり、違和感は感じた。 しかし、展開や結末はよく練られており独特な世界観を堪能できた。 できるだけ情景描写と甘美な表現は抑えられていて読みやすく、女性にもお勧めです。

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2020/04/05

一般的な恋愛物語ではないと思わせる様な文体。16歳とは思えないほどの思慮が成熟した主人公が歳上女性を愛していく様を描いている。勿論思慮が未熟であるとも取れるが、文体のみで主人公の気持ちを想像するのであれば、常識的な世間批判からも苦しめられ、非道徳と道徳を常に真面目に考えている主人...

一般的な恋愛物語ではないと思わせる様な文体。16歳とは思えないほどの思慮が成熟した主人公が歳上女性を愛していく様を描いている。勿論思慮が未熟であるとも取れるが、文体のみで主人公の気持ちを想像するのであれば、常識的な世間批判からも苦しめられ、非道徳と道徳を常に真面目に考えている主人公の葛藤が描かれている。それを読者が肉体に取り憑かれてしまっていたと結論付けて了えば其れ迄であるが、愛するが故にマルトに対する姿勢や言葉が冷徹になりエゴイズム化していく様は、人間誰しもが持っている愛情の裏返しである。  愛しているが故にマルトに自己を投影させ類似性を探っている主人公の想いが何とも可愛くなってくるのは私だけでは無いはずだ。  彼を愛せたのはマルト以外にいないのであり、マルトが彼の子供を産んで死んだという事実を述べる事により、未成年の愛が幾つも阻まれようとも彼らの愛の結晶が温かく世間に正当に迎えられたとも思えた。

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2019/01/23

面白くねーよ。 なんで評価が高いのかがわかんね。 書かれた100年くらい前の当時は、 評価が高く面白かったのかもしれないが、 今だと単に古臭い話に感じる。 作者が17,8歳のときに書かれた小説、 ってところがポイント高いのかもしれないが だからといって面白いってわけじゃなし。...

面白くねーよ。 なんで評価が高いのかがわかんね。 書かれた100年くらい前の当時は、 評価が高く面白かったのかもしれないが、 今だと単に古臭い話に感じる。 作者が17,8歳のときに書かれた小説、 ってところがポイント高いのかもしれないが だからといって面白いってわけじゃなし。 大正昭和初期の、純文学好きの人にはウケるかも。 私ゃもうお腹いっぱいです。

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2017/09/23

登場人物を全員張り倒してやりたい・・・この話をここまで高潔な文章で静謐に綴った著者が本当にすごい。 しかも、内容がすべて主人公の少年の回想と独白というスタイルなので「相手が本当はどう思ってたのか」とか「本当のところはどうだったのか」とかが曖昧で何度も読んで色々考えるのも面白い。本...

登場人物を全員張り倒してやりたい・・・この話をここまで高潔な文章で静謐に綴った著者が本当にすごい。 しかも、内容がすべて主人公の少年の回想と独白というスタイルなので「相手が本当はどう思ってたのか」とか「本当のところはどうだったのか」とかが曖昧で何度も読んで色々考えるのも面白い。本当に主人公との子どもだったのか?それとも夫?彼女は最後に読んだのは主人公の名前?それとも子供の名前? それにしても、妊娠後期の女性を極寒の雨の中歩き回らせる主人公を本当に張り倒したい。それ以降彼女は体調を崩し、産後の肥立ちも悪くそのすぐ後に亡くなるので主人公のせいで彼女は亡くなっているのでは。だけどそれを、彼女は望んでたのかもしれない。

Posted byブクログ