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物語が生きる力を育てる の商品レビュー

4.8

10件のお客様レビュー

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2024/07/24

子どもが成長するうえで大切なのは、五感を使い磨く経験を重ねること、喜怒哀楽の感情を味わいそれに対処する経験を重ねること、自分や世界を俯瞰して見る視点を身につけること。 それらを得る上で効果的なのが、物語を聞いたり読んだりすること。そして、大事なのはそれらの経験を積むことであって、...

子どもが成長するうえで大切なのは、五感を使い磨く経験を重ねること、喜怒哀楽の感情を味わいそれに対処する経験を重ねること、自分や世界を俯瞰して見る視点を身につけること。 それらを得る上で効果的なのが、物語を聞いたり読んだりすること。そして、大事なのはそれらの経験を積むことであって、読書自体は目的ではない。 物語は古くから人間が世界と折り合いをつけて生きていくために語り継がれてきたものでありさまざまな経験や視点が詰まっている。 というお話。 人と世界と歴史などについて考えさせてくれる、深いテーマの本でした。

Posted byブクログ

2023/12/01

私は小学低学年に定期的に読み聞かせしているのですが、物語を楽しめない子供も多く色々考えてしまいます。まずは子供にとって物語、お話しってどんなものなのかと思って読みました。 ❐赤ちゃんの成長のために 子供がちゃんと育つために必要なのは「実体験」だ。赤ちゃんの時に、泣く指差すなどの...

私は小学低学年に定期的に読み聞かせしているのですが、物語を楽しめない子供も多く色々考えてしまいます。まずは子供にとって物語、お話しってどんなものなのかと思って読みました。 ❐赤ちゃんの成長のために 子供がちゃんと育つために必要なのは「実体験」だ。赤ちゃんの時に、泣く指差すなどの発信に周りが答えることによりコミュニケーションが取れるようになっていく。言葉はその延長にある。五感の発達も大切になる。全身を使って世界を感じて運動能力を高めてゆく。成長には、赤ちゃんが世界を感じる興味や発見の喜びを味わうことが大切になる。 ❐昔話 昔話では聞き手は登場人物と一体化する。しかし「おじいさん/おばあさん/隣のおじいさん」「お兄さん/弟」など個性を持たないので、一体化の相手を一人の登場人物から次の登場人物へと渡っていくことができる。一体化と感情移入とはまた違う。(昔話と物語の橋渡しのような感情移入できるものもある) 日本の昔話では幸運は突然降って湧いてくることが多い。幸運は「降ってくる」事がある。しかし苦く厳しい現実をしっかり受け止めて生きなければいけない。 ❐心の理論 「他者が自分とは違う知識、考え、感情を持っていることを理解し、その内容を推測できる能力」のこと。 昔話では「自分はこのような人間」という認識が明確ではない語り方なので、おおらかに物語を楽しむことができる。 しかししっかりと感情移入して物語を楽しむには、心理描写や情景描写が大切になる。 ❐情動の知性 自分の心に沸き起こる情動を認識し、必要に応じてコントロールして、破壊的な結果にならなようにする能力。 子供のうちに、周りの人間と感情を共にする経験を重ね、心を動かすこと(感情体験)を身につける。特に深い感情を体験してそれからどう抜け出すかを習得することが大切。 豊かな喜怒哀楽感情を持ち、状況に応じてそれを抑える力を育てることが必要になる。 ❐感情移入 不快感情に対応するためにも物語には力がある。物語では困ったことや嫌なことにあっても助けてくれる人がいたり、意味のある経験を通して抜け出すことができる。そんな物語に触れていれば、現実での不快なことにあっても「こんな感情を持つのは自分だけではない」「この状況から抜け出せる」という希望を持つことができる。 物語で主人公の心の中が的確な言葉で表現されることは「感じていることを言葉でとらえる」ことに役立つ。 物語は、ただ感情移入しきってしまうのではなく、感情移入しながらも読者として客観的に見つめる練習にもなる。すると自分自身の困難の時に冷静に自体を見守って半d何を下せる「もう一人の自分」を育てるトレーニングになる。 ❐ゆっくり読み取る 物語では粗筋だけを追うのではなく、情景や風景描写も読み取る。主人公の困難を一緒になって考える。自然描写のなかに感情を読み取る。『ハイジ』の場合、山に帰るハイジの長旅があるからこそ、読者はハイジの喜びや不安を一緒に味わうことができる。 そして自然描写の豊かさも物語の大切なところになる。自然の持つ複雑さや美しさを言葉にすることはかなり高度な言語表現が必要になる。そこで豊かな表現で自然や情景を描写している物語は読者の心に響く。 …私は読んでわからないと「ええい、割り切って粗筋だけを追ったり分かるところだけ読み進めよう」としてしまうので、反省いたすところ。 ❐耳からの物語の大切さ 読むと飛ばしてしまうようなことも、語られると全ての言葉が耳に入るので、物語の情景や感情に寄り添うことにつながる。 ❐物語 子供に良い物語とは、夢を描くことと、現実を認識することを行ったり来たりするもの。現実の厳しさと乗り越える希望を読み取る。 良い物語とは夢や願いを叶えてくれるもの。ハッピーエンドでなくて悲しい出来事で終わったとしても「良かった」と思えるものがある

Posted byブクログ

2023/05/25

「子どもが本を読むことの大切さを語った『読む力は生きる力』は、多くの読者の共感を得た。本書では、絵本から本格的な物語へと移行する重要な時期に、なぜ昔話や民話ふうの物語がふさわしいのか、語り継がれ、読み継がれてきた「物語」にはどんなすばらしい力が秘められているのか、明快に説く。」

Posted byブクログ

2021/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分を客観視する目、より広い視野からみる目を身につける。「メタ認知能力」質の良い物語を読むことによって育っていく。主人公に感情移入しながら、同時に読者として客観的に眺めるトレーニング。

Posted byブクログ

2020/05/07

 最近、読書ということが注目を集めています。特に教育現場では、「朝読書」という取り組みが、全国的に行われています。  ところで、本当に本を読むことは、そんなにいいことなのでしょうか。何となくためになりそうだということは分かりますが、○○で○○だから、○○にいいというようなことは...

 最近、読書ということが注目を集めています。特に教育現場では、「朝読書」という取り組みが、全国的に行われています。  ところで、本当に本を読むことは、そんなにいいことなのでしょうか。何となくためになりそうだということは分かりますが、○○で○○だから、○○にいいというようなことは、なかなか言い切れないような気がします。  そんな問いに明確に答えてくれたのが、著者の『読む力は生きる力』です。  さて、この本は、そこから一歩踏み出しています。つまり、本が読まれること自体が大切なのではなく、子どもたちがちゃんと育つことこそが大切である、そのために、「物語」が重要な役を担うというのが、著者の主張のようです。  物語って、そんなに奥が深かったのか。思わずうならずにはいられません。ぜひこの本と出会って、深遠な物語の世界に足を踏み込んでみてください。

Posted byブクログ

2020/07/18

物語をゆっくり味わいながら読むこと、耳からの読書等の大切さ。私が大好きな作品についても取り上げられていて、得るところ共感するところ多し。何度も読んで確認したくなる。 クレスカ、あらしの…

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2011/12/28

自分がいかに貧しい?読書をしてきたかが痛感させられた。 そんな自分が図書館員として働いているのはある意味大きな意義のあることかもしれないなぁ。 こどもたちを取り巻く環境は、あたしの子ども時代とさえ大きな隔たりがある。 脇さんも言っていたけど、子どもたちに必要なのはもちろん実体験...

自分がいかに貧しい?読書をしてきたかが痛感させられた。 そんな自分が図書館員として働いているのはある意味大きな意義のあることかもしれないなぁ。 こどもたちを取り巻く環境は、あたしの子ども時代とさえ大きな隔たりがある。 脇さんも言っていたけど、子どもたちに必要なのはもちろん実体験だと思う。 それをする時間さえとってしまう読書推進活動ならいらない。 本当にもっともなこと言ってると思う。 でも、やっぱり読書を通して得られるものは多くって、その得られるものっていうのは本人に認識させなくていいところ何だと思う。 だって、想像力かつくとかメタ認知能力が発達するとか意識して読んで何か身に付く訳ないもの(笑) 実体験をベースにして、読書の可能性、図書館の可能性を実現していけるような環境を作っていけたらいいなぁ。

Posted byブクログ

2010/01/31

今の世の中 大人も子どもも みんな 「急ぎすぎて」いないか、 もっとゆっくり歩くことは出来ないか。 進歩という名の 快適な生活の中で 大事なものを忘れていないか。 そんなことを考えさせられました。 ゆっくり味わって読むに値する本が 減っているのも確かだなあ、と思う。 一度...

今の世の中 大人も子どもも みんな 「急ぎすぎて」いないか、 もっとゆっくり歩くことは出来ないか。 進歩という名の 快適な生活の中で 大事なものを忘れていないか。 そんなことを考えさせられました。 ゆっくり味わって読むに値する本が 減っているのも確かだなあ、と思う。 一度 話題になった「ハリーポッター」の本を 手に取ったが 読み進めることが出来なかった。 なぜだかわからなかったけれど 私にはこれは読めない、と諦めてしまっていた、 その理由をこの本に教えてもらった。

Posted byブクログ

2009/10/10

またしてもメカラウロコ。 たくさん本を読みたいワタシは速読しがち。 ちゃんと想像しながら読んでるけれど…だめかしら。 だっていっぱい読みたい…。

Posted byブクログ

2012/11/05

本文より 「人々は映像やゲームの形をとった物語を、あるいは、事件報道や噂話の中にひそむ物語を、貪欲に追い求め続けています。物語は確かに、時には私たちをなぐさめ、ときには勇気付け、ときには知恵を与えてくれる、大きな力があります。しかしその一方で、知らないうちに物語に踊らされ、視界を...

本文より 「人々は映像やゲームの形をとった物語を、あるいは、事件報道や噂話の中にひそむ物語を、貪欲に追い求め続けています。物語は確かに、時には私たちをなぐさめ、ときには勇気付け、ときには知恵を与えてくれる、大きな力があります。しかしその一方で、知らないうちに物語に踊らされ、視界をゆがめられ、心に毒を注がれていることも少なくありません。ネットワークの中で噂話が暴走する現代、その危険度はきわめて大きいものになっています。 でも、そんな時代だからこそ、子供たちがその成長過程において物語に接すること、本を読むことには、やはり大きな意味があると思うのです。(中略)確かに子供の成長には実体験が何より大切ですが、物語による仮想体験にも、場合によっては、実体験では不足するものを補う大きな力があります。それどころか、質のいい物語には、今の子供たちから人間らしい輝きを奪っているこの社会状況そのものを動かしていく可能性さえ秘められていると思うのです。 (中略)どんな本でもいい、どんな読み方でもいい、というわけにはいきません。」 同感ですね。 質jの良い読書が、正しい知性と心を作り守ってくれる力は侮れません。そして、これだけ書籍を含め情報が氾濫し、良い情報悪い情報が、amazonランキングに一緒に入っているような時代です。何でもいいというわけにはいきません。本を選ぶのも、書評を書くのも、問題意識と責任が問われる気がします。

Posted byブクログ