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ファラゴ の商品レビュー

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2011/07/01

フランスが舞台と思って本を開いたらいきなり裏切られました。舞台はアメリカ、それも西海岸でした。風変わりな登場人物たちがなぜかフォークナーを思い出させます。そこかしこに奥の深い文章がちりばめられています。主人公は無知ながら抜群の吸収力で堅実に成長していきます。ページ数の多さととっつ...

フランスが舞台と思って本を開いたらいきなり裏切られました。舞台はアメリカ、それも西海岸でした。風変わりな登場人物たちがなぜかフォークナーを思い出させます。そこかしこに奥の深い文章がちりばめられています。主人公は無知ながら抜群の吸収力で堅実に成長していきます。ページ数の多さととっつきの悪さで読了するのが少し大変でした。

Posted byブクログ

2010/02/24

ちょっと薹が立ったハック・フィンみたいなホーマー。彼の語る物語は、あっちへ広がり、こっちへ踏み込み、過去を遡ったかと思えば、さらにそのもっと奥へ・・・といった具合。だいたい、「ホーマー、そこから出な!」という冒頭で呼びかけられた時点に戻ってくるのは、なんと物語の半ばあたりなのだ。...

ちょっと薹が立ったハック・フィンみたいなホーマー。彼の語る物語は、あっちへ広がり、こっちへ踏み込み、過去を遡ったかと思えば、さらにそのもっと奥へ・・・といった具合。だいたい、「ホーマー、そこから出な!」という冒頭で呼びかけられた時点に戻ってくるのは、なんと物語の半ばあたりなのだ。では時系列的にグダグダで読みづらいかというと、まったくそんなことはない。森を知り尽くしたホーマーの道案内で森を逍遥しているような、不思議な心地よさを感じる。 全体としてユーモラスでゆったりとした読み心地なのだが、デュークとの最後の山行きの場面は、デュークの悲劇的な初恋のエピソードといい、デュークの崇高さといい、ピリッと引き締まった印象で、感動的。 2003年の、高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。ちなみに同年のゴンクール賞は、ジャック=ピエール・アメットの『ブレヒトの愛人』 ここ数年選ばれた作品を見ても『アラーの神にもいわれはない』(2000年)、『ある秘密』(2004年)、『マグヌス』(2005年)、『ブロデックの報告書』(2007年)など、社会的・歴史的テーマを扱った作品の受賞が多いようで、そこには、フランスの高校生たちの明確な問題意識が感じられる。そうしたなかでは、『ファラゴ』は少し異色にも思えるが、ホーマーの友人であるファウストーやデュークの、人生に対する味わい深い箴言や、耳を傾ける人であり考える人でもあるホーマーが、自らの物語を語るための“言葉を獲得”していく、というあたりが評価されたのだろうか、と想像してみる。 日本の高校生にも芥川賞や直木賞を選ぶ機会が与えられるとよいのにな。 ――Farrago by Yann Apperry

Posted byブクログ