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山田盛太郎 の商品レビュー

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2012/04/25

私の世代だと山田盛太郎は、まだ学生時代に存命ではあったが、その主著『日本資本主義分析』は、すでに伝説だった。そしてほとんどその人となりを知る機会はなかった。寺山道雄が評伝として淡々と記述しているのが却って読ませる。30年前であれば、このような評伝は書けなかったかもしれない、とふと...

私の世代だと山田盛太郎は、まだ学生時代に存命ではあったが、その主著『日本資本主義分析』は、すでに伝説だった。そしてほとんどその人となりを知る機会はなかった。寺山道雄が評伝として淡々と記述しているのが却って読ませる。30年前であれば、このような評伝は書けなかったかもしれない、とふと思った。時代の流れをこういう所にも感じる。 あの難渋な文体が、ソ連発のプロレタリア文学に吸収され、やがて吐き出されたアバンギャルドと未来主義の影響を受けていたという分析も腑に落ちるところがあった。花田清輝の「アバンギャルド芸術」という評論を思い出したからである。 ソ連の度重なる日本理解の方針変更が日本に与えた大きな影響といい時代に翻弄され続けた研究者がたどり着いた一つの到達点が『日本資本主義分析』なのだという頭の整理ができた。

Posted byブクログ