占領と改革 の商品レビュー
無条件降伏モデルのサクセスストーリーを総力戦体制論により相対化する試み。戦前から存在していた4つの政治潮流(国防国家派、社会国民主義派、自由主義派、反動派)が、戦後にどのような動きをしたのかを検証することにより、戦前と戦後の連続性を解き明かしていく内容。 視点がハッキリしているの...
無条件降伏モデルのサクセスストーリーを総力戦体制論により相対化する試み。戦前から存在していた4つの政治潮流(国防国家派、社会国民主義派、自由主義派、反動派)が、戦後にどのような動きをしたのかを検証することにより、戦前と戦後の連続性を解き明かしていく内容。 視点がハッキリしているので説得力は感じられる。野口悠紀雄の「1940年体制論」を政治的に膨らまして論じているという印象。
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戦後と総力戦体制下の社会変化の連続性を問う、という視覚は(2008年の時点でそんなに新しいものだっただろうか?)良いが、総力戦との連続性を強調しようとするあまりに、占領改革のもたらしたら効果を矮小化する向きが強すぎてかえって説得力が低まっているのではないか。
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2008年刊行。著者は獨協大学法学部教授。占領期から独立までを、①占領による制度改革、②新憲法制定、③戦後の政党、④大衆運動(共産主義運動を含む)の観点から解説。①は1940年体制という造語を知っていれば、連続性はそれほど目新しくはないが、戦中において小作層の影響力が拡大しつつあったという事実は無視し得ないところ。②も目新しさは感じない。個人的には③が勉強になった。 ちなみに、戦中のインフレ亢進と食糧不足の結果、農産物を直接生産する小作層が富裕化し、地主が小作から借入している実態を著した地主の日記も新書化されていたような気が…。タイトル忘れた…。
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[配架場所]2F展示 [請求記号]080/I-3 [資料番号]2008101868、2010101539、2008101773、2008102274、2008101869
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前半は占領行なわれなくても、戦後改革はありえた、とする野心的な論考だったが、後半に勢いがなくなった感がする。GHQは絶えず強権的ではなかったのだな。 ・無条件降伏モデルは、国家として戦争責任取らせなかったことが致命的。 ・改革以前に戦前戦時中に学校運営に父母が多大に関わっていた...
前半は占領行なわれなくても、戦後改革はありえた、とする野心的な論考だったが、後半に勢いがなくなった感がする。GHQは絶えず強権的ではなかったのだな。 ・無条件降伏モデルは、国家として戦争責任取らせなかったことが致命的。 ・改革以前に戦前戦時中に学校運営に父母が多大に関わっていた事実。 ・憲法体制が確立するのは55年 ・天皇とリーダーは戦争責任を取る下地が十分にあった。
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ここまでゴミだと言い切れる本も珍しい。 一冊欠けたとしても出版しない方がこのシリーズの名声のためにも賢明だったと思う。
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総力戦体制と戦後体制を連続したものと捉え、総力戦体制をある意味完成させたのはGHQによる改革であったする、従来の戦中・戦後解釈に一石を投じる内容の研究書。新書ながらも、内容は新鮮であり知的刺激に溢れている。
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学校の歴史では、近代、現代をほとんど教えない。 過去の失敗を繰り返さないという意味での歴史の役割が断絶している。 本書は、学校で教えなかった歴史をつなごうという意味で有用だ。
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▼「あいまいな」私たちや「無責任の構造」を作り出してしまった原因の一つは、「神」を創造してしまったことにあるのではないか。 このきっかけは1930年代にまで遡らなければならない(世界情勢という観点からは世界恐慌が勃発した1929年とした方が正確かもしらないが)。 ▼一応の「日本人...
▼「あいまいな」私たちや「無責任の構造」を作り出してしまった原因の一つは、「神」を創造してしまったことにあるのではないか。 このきっかけは1930年代にまで遡らなければならない(世界情勢という観点からは世界恐慌が勃発した1929年とした方が正確かもしらないが)。 ▼一応の「日本人」が形成された時期は明治時代のことである(戸籍の作成と日本人の策定)。そして、国家をまとめるためにシンボルが必要とされたこともまた、事実である。この理屈からすれば、戦後の「国體(国体)護持」の理念さえ合理性を有し得ることになる。 ▼現行憲法は「押し付け」であるとは言えないが、自らの手で作り出したとも言いきれない。それを理由とすることに、改正自体以上の目的を見出すことは難しいが、日米安保にも関連して、日本の主体性(≒自主・自立)を問うていることには違いがない。しかし、その際行きつくところまで行きつかなければ無益な感情論で終わってしまわないだろうか。 ▼戦後しばらくの間、本人や周辺リーダーたちに責任をとる(≒退位する)意思が存在していたこと、また、それを支持する世論が少なからず存在していたこと。それを抑えたのは米国の反対であり、少なからずそれはスムーズな戦後処理、統治のためであった。現行の憲法を否定することはすなわち戦後の在り方を改めようとすることで、それはつまり、私たちの戦後を再び選びとろうとすることに他ならず、このことは避けては通れない問題であろう。
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近衛のことにスポットが当たりすぎて、もうちょっと片山・芦田政権や「協同主義」などについてもしっかり書いて欲しかったかな。
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