スキャンダラスな関係 の商品レビュー

ジュリア・ジャスティス(著者),大谷真理子(訳者)

2009/10/04

エヴァンが、エミリー・スペンサーと初めて会ったのは、母親のレディ・チェヴァリーに頼まれ、ロンドンの帽子店〈マダム・エミリー〉を訪れた時だった。エミリーは美しかった。貴族でも珍しいほどの気品が備わっていた。聞けば、彼女は軍人の夫を亡くした後独力で商売を始めたという。若くハンサムな伯爵エヴァンは、一目でエミリーが気に入り、彼女の財政的窮状を知ると、ただちに援助を申し出た。もちろん、下心を抱きつつ。そしてエミリーも程なくして彼の情熱に答えた。それは、生きるため、幼い息子を立派に育てるための悲痛な選択だった。