二つの月の記憶 の商品レビュー
女優・岸田今日子さんによる短篇小説集。 岸田さんといえば独特な雰囲気を持つ「個性派女優」で、ミステリアスを超えて少し不気味な役柄を演じるイメージがあったのだけど、その像にぴったり合った作品群でした。 ミステリアスで、ファンタジックで、エロティック。 その要素が絡み合った個性が爆発...
女優・岸田今日子さんによる短篇小説集。 岸田さんといえば独特な雰囲気を持つ「個性派女優」で、ミステリアスを超えて少し不気味な役柄を演じるイメージがあったのだけど、その像にぴったり合った作品群でした。 ミステリアスで、ファンタジックで、エロティック。 その要素が絡み合った個性が爆発していて、だけど雰囲気は静か。 ひとつひとつがごく短い、超短篇にも近い7つの短篇集なので、そんなに時間はかからず読み切れるけれど、余韻がすごかった。 全部よかったけれど、表題作と、「オートバイ」「逆光の中の樹」がとくに好き…と言いつつやはり選べない。 岸田さんは2006年に亡くなっていてこの本の刊行は2007年なのだけど、ジェンダー問題にも触れたお話もあって、時代を先取りされていた方なのだな、と。 でも「問題提起」とかではなくあくまで物語の中の一要素としてあるのが、自然でとても心地よかった。
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傷だらけの天使の綾部貴子役で出ておられたな。古びた蓄音器から流れるドイツ語の音楽とともに。なんだか神秘的で、ドキドキしていた。どんな書斎で、どんな文机に座り、どんなペンを持ってこれを書かれたのだろう?壁にはどんな絵が掛けてあったのかな?ドキドキしながら読み進めた次第。
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とにかくとっても好きな作品。官能的でありながら幻想的であり、すごく危うくて繊細な世界が静かに静かに書かれていて、脳がすーっと冷える感覚がした。 特に私が好きだったのは表題作の「二つの月の記憶」と「K村やすらぎの里」。子どもの頃のふとしたきっかけで生まれたようなほのかな恋心が、...
とにかくとっても好きな作品。官能的でありながら幻想的であり、すごく危うくて繊細な世界が静かに静かに書かれていて、脳がすーっと冷える感覚がした。 特に私が好きだったのは表題作の「二つの月の記憶」と「K村やすらぎの里」。子どもの頃のふとしたきっかけで生まれたようなほのかな恋心が、縺れに縺れて狂気じみていく様にひたひたと怖さを感じる。岸田さんの他の作品も読みたくなった。
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短篇7本を収録。どの話も独特の世界観があった。幻想的で、ときにエロティックで引き込まれる。「本当のことを、作り話として聞いて」という女性の、うしろ暗い過去に耳を傾ける「K村やすらぎの里」、祖母を訪ねる若い娘とオオカミの遭遇を描いた「赤ずきん」のパロディ「赤い帽子」、叶うはずのない...
短篇7本を収録。どの話も独特の世界観があった。幻想的で、ときにエロティックで引き込まれる。「本当のことを、作り話として聞いて」という女性の、うしろ暗い過去に耳を傾ける「K村やすらぎの里」、祖母を訪ねる若い娘とオオカミの遭遇を描いた「赤ずきん」のパロディ「赤い帽子」、叶うはずのない夢を胸に抱えた女性が、月日を経て約束の結実を目の当たりにする「引き裂かれて」が好き。
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短編集。1つ目の「オートバイ」は、をを!さすが!と思ったのだけど、全体的に、「大人にしてあげた小さなお話」ほどのときめき感は少なかったかな。
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女優・岸田今日子さんが書かれた 7つの短篇集。 不思議な世界観のお話が多いですが その世界に引き込まれ あっという間に 読み終わってしまいました。
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- ネタバレ
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短編集。女優・岸田今日子さんの先入観抜きで読んでみたらどんな感じだったんだろう・・・。 才能にびっくり。こんなの書くんだねえ。作家になっていたらコアなファンがつく伝説の作家になっていたかも。 毒とエロスと、いたずらっぽいユーモアが混在。 そんで、独特の文学の香りがあるのです。 いまどきの女性作家が狙ってみても絶対出せない空気、なんというかよく醸された古いワインみたいな。 そゆのって多分人柄からにじみ出るものなんだよねえ。 惜しい人を亡くしたんだなあ、と改めて。 もっと書いてほしかったな。
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静かで妖しくて夢か現かの境目が曖昧な世界に引き込まれるような作品たち。普段短編は、その世界観に入り込めないまま読み終える場合が多いのだけれど、こんなに短い作品なのに一つ一つの不思議な世界にぐっと入り込めた。
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あっ、がたくさんの短篇集。 手塚治虫の漫画で読みたい世界観。 「オートバイ」と「二つの月の記憶」と「逆光の中の樹」がお気に入り。
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「二つの月」繋がりで。短いお話なのですがぞくぞくして、文章や物語が体に残りました。凄く面白かったです。岸田さんのご本、これからも読んでいきたいです。
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