穴 の商品レビュー
中年作家の安普請アパ…
中年作家の安普請アパートの壁に穴がありそこをのぞくと一人の女性が、そして作家のストーリー通りに隣の女性にいろんな出来事が起こる。ホラー小説だけど恐怖より奇妙な感じをい受ける作品です。
文庫OFF
【2024年146冊目】 真木栗勉は、作家として書くことを生業とし、ほそぼそとした生活を送っていた。住居兼仕事場のアパートは決して良い環境とは言えず、引越しを検討する真木栗。だが、ひょんなことで部屋の壁に隣人の様子を具に観察できる穴があることを知り、真木栗はその背徳感に夢中になっ...
【2024年146冊目】 真木栗勉は、作家として書くことを生業とし、ほそぼそとした生活を送っていた。住居兼仕事場のアパートは決して良い環境とは言えず、引越しを検討する真木栗。だが、ひょんなことで部屋の壁に隣人の様子を具に観察できる穴があることを知り、真木栗はその背徳感に夢中になっていく。そんな折、空室だった隣室に理想の女が引っ越してきて――。 ホラー小説は、人外的な怖さのものと、人が怖いものの、大きく2種類にわけられると思うのですが、本作は……読んでからのお楽しみとしておきましょうか。 まず、主人公の真木栗の名前の癖の強さよ、と思ったりして、調べてみましたがそんな苗字の方はいなさそうなので、完全に創作ですね。 真木栗の作家としての日々と、彼の心情がメインとなって、物語は粛々と進み、特に終盤まで怖い要素はありません。それが逆に「いつ来る、何が来る?」と思ってドキドキしながら読み進める要因となりました。なんたって、「角川ホラー文庫」ですから。 真相としては「なぜ」と思う方が多いかもしれませんが、私としては「どうなる?いつ怖がらせに来る?」と、飽きることなく長い間ハラハラさせてくれた手腕に座布団1枚!って感じでした。 文体も丁寧な割に、口説い感じはしなくて、非常に読みやすかったのも、私好みで良かったです。デビュー作でこれはレベル高いなぁと。 物語のボリュームとしてもちょうど良い感じがしました。好きですね。
Posted by
本当に何気なく手にして何気なく買ったこの作品。 作家さんの名前も聞いたことなかったけど表紙と裏の説明文に惹かれて読んでみた。 真木栗勉て何その名前?まずそこから妙に引っかかるものを感じて読み進めるとだいぶ古い作品なのかなぁ? いや、古いって言っても2001年かぁ。 独特の雰囲気に...
本当に何気なく手にして何気なく買ったこの作品。 作家さんの名前も聞いたことなかったけど表紙と裏の説明文に惹かれて読んでみた。 真木栗勉て何その名前?まずそこから妙に引っかかるものを感じて読み進めるとだいぶ古い作品なのかなぁ? いや、古いって言っても2001年かぁ。 独特の雰囲気にどんどん引き込まれてなんだか真木栗以上にこっちがおかしな世界に引き込まれていった。 なんとも言えない不思議な世界観を持った作家さんだ。 ぜひほかの作品も読んでみたいと思ったけど他の作品が見つからない。 何!この人?この人が佐緒里なの? こんな不思議な世界観を持った作品と作者さんに久しぶりに出会った感じがした。 誰か他の作品知りませんか?
Posted by
見えないものに真実があるというのは、一つの道理かもしれない。見えるものばかりが見えるのでは、見えないものが存在しなくなってしまう。ある意味、それは恐るべきことなのかもしれない。ま、世の中には知らんでええこともあるけどね!
Posted by
恐怖とエクスタシーは表裏一体だとこの小説を読んで感じた。 しがない小説家が自分の部屋で隣室に通じる「穴」を見つける。それは両サイドに開いていて(これが一つではなく二つ開いているという点も面白い)、 そこを覗くようになってから彼の人生が大きく動き出す。 両サイドに開いている穴はそれ...
恐怖とエクスタシーは表裏一体だとこの小説を読んで感じた。 しがない小説家が自分の部屋で隣室に通じる「穴」を見つける。それは両サイドに開いていて(これが一つではなく二つ開いているという点も面白い)、 そこを覗くようになってから彼の人生が大きく動き出す。 両サイドに開いている穴はそれぞれ「現実」と「非現実」の世界を象徴しているように思った。 彼は「非現実」の穴から女性の生活を覗くことにより、今までにない才能を発揮するようになる。原稿用紙に大雨のごとく文字を降り注ぐ様は、読んでいて、モーツァルトが鎮魂歌(レクイエム)を作曲していた晩年もこのような状態だったのではないかと思った。 あるとてつもない恐怖や、興味や、得体の知れない世界に踏み入った時、人は怖いという感情とともに快感を覚え、陶酔境を見るのではないだろうか。 主人公が恐怖を感じながらも、それに絡めとられていく様子はとても官能的だったと思う。
Posted by
- 1