二十歳の火影 の商品レビュー
宮本輝の青春時代から…
宮本輝の青春時代から作家デビューまでを描いた自伝的エッセイ。「青が散る」など作品のモチーフとなった出来事についても語られていて、ファン必見のエッセイ集です。
文庫OFF
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流転の海を読みながら、合間にこのエッセイ集を読み直して見た。引っ越しで棚を取り外すときに生きたまま釘で打ち付けられたトカゲについて描いた文章を、初めて読んだ四十数年前と同じ衝撃で読んだ。この優れた作家の根っこにあるものが見事に表現されていた。
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元来、人の話を聞くのが好きだし、そこに勝手だが自分の姿を重ね「自分ならどうするか?」などと思い悩むことがすきだ。この行為に意味があるのか、ないのかなんてどうでもよくて、それを単純に楽しむ自分がいる。つまるところ、エッセイというものはそんな僕にとっての格好の大好物なのである。本書も...
元来、人の話を聞くのが好きだし、そこに勝手だが自分の姿を重ね「自分ならどうするか?」などと思い悩むことがすきだ。この行為に意味があるのか、ないのかなんてどうでもよくて、それを単純に楽しむ自分がいる。つまるところ、エッセイというものはそんな僕にとっての格好の大好物なのである。本書もその例に漏れない。 宮本輝さんを知ったきっかけは「錦繍」だった。10年振りに再開をはたした男女手紙のやり取りが続くだけという単純な構成にもかかわらず、そこに儚くも強い情、そして過去の精算と新たなる旅路をひしひしと感じた。衝撃だった。そして没頭して読みふけったことを昨日の事のように思い出せる。 あの読書体験以降、ぼくは宮本輝さんの本を折に触れて読むようになり現在は4冊目だ。あの時の胸の高鳴りと、それでいて妙に俯瞰してみえた自分を取り巻く世界の輪郭は、もしかしたら自分のモノではなく宮本輝さんのみていた世界なのかもしれない。いやきっとそうなのであろう。 本書、二十歳の火影も同様に宮本輝さんの半生を追体験できる良書であった。複雑な家庭、そして両親に挟まれる子の感情、悶々と過ごした学生時代、鬱屈とした感情の数々。濃厚な読書時間を過ごせる本なので、ぜひ、1人でも多くの人に読んでもらいたい。
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宮本輝さんの本が好きで、結構読んでいます。先日、古本屋で購入、読みました。宮本さんのいろんな作品のベースになったいる少年時代青年時代のことが分かって、ますます宮本さんのファンになりました。二十歳かあ、遠くなりました。
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自分を変えた一冊として挙げるなら、何か。 私はこの『二十歳の火影』を挙げる。 宮本輝のちょっとはにかんだ青春時代を追うと、なんだかうきうき楽しくなってくる。 そんな中で「蜥蜴」のように、生についての触感にハッと思わされるような話もあって、すごい。 元はと言えば、大学の教授に講...
自分を変えた一冊として挙げるなら、何か。 私はこの『二十歳の火影』を挙げる。 宮本輝のちょっとはにかんだ青春時代を追うと、なんだかうきうき楽しくなってくる。 そんな中で「蜥蜴」のように、生についての触感にハッと思わされるような話もあって、すごい。 元はと言えば、大学の教授に講義とはまったく逸れた所で紹介された一冊である。 けれど、この一冊は手軽に踏み込んでいっていいんだよ、と優しく手まねきしてくれているようで、私に対して読書という道を示してくれた貴重な一冊なのである。 二十歳とはどんどん離れつつある私なのだが、二十歳を迎えた私が読んだ感動と、離れていきつつある私が読む感傷はそれぞれに愛おしいものであると思う。
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宮本輝さんの最初の随筆集。奇想天外なストーリーでハラハラドキドキ、、というわけではないのに、どんどん先を読みたくなって、なんか前向きになれる。そんな読後感は、小説と通じるところ。
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子どもの頃から 芥川賞を受賞し,その後随筆を 書くに至った 時々の 宮本輝の スケッチ。 流転の海にでてくる 熊吾のような父は もはや存在せず、落ちぶれた父親。 ちょっと神経質な 母親。 そして、屈折した 宮本輝が 浮かび上がる。 小説のネタが ちりばめられていて、 コピーラ...
子どもの頃から 芥川賞を受賞し,その後随筆を 書くに至った 時々の 宮本輝の スケッチ。 流転の海にでてくる 熊吾のような父は もはや存在せず、落ちぶれた父親。 ちょっと神経質な 母親。 そして、屈折した 宮本輝が 浮かび上がる。 小説のネタが ちりばめられていて、 コピーライターから 小説家になろうとした その決意が 平易に語られている。 吉野せいの「洟をたらした神」が きっかけとなる。 泥の河 蛍川 道頓堀川。 川に,みずからの人生をたくす。 たしかに 言葉の操り方が たくみで すんなりとはいってくるのがいいね。
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旅の間中、何度も読み返した。傑作。いつものことだけど、この人の短編には、後の長編作のバックグラウンドや大元のストーリーが潜んでいて、おもしろい。。ふふ。。教科書に載せるレベル。
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泥の河~蛍川~道頓堀川川を見ながら、おとなになった 宗右衛門町に映画『道頓堀川』の舞台のモデルとなったジ々ズ喫茶「オグラ」がある。ウッドを基調にした温かい雰囲気の店だ。 大きなスピーカーから流れるジャズを聴きながら、本を読む。窓からは、噴水とネオンで美しく輝く道頓堀川が見え...
泥の河~蛍川~道頓堀川川を見ながら、おとなになった 宗右衛門町に映画『道頓堀川』の舞台のモデルとなったジ々ズ喫茶「オグラ」がある。ウッドを基調にした温かい雰囲気の店だ。 大きなスピーカーから流れるジャズを聴きながら、本を読む。窓からは、噴水とネオンで美しく輝く道頓堀川が見える。水面に己の虚像映した青春時代宮本輝はエッセイ集「二十歳の火影」の冒順に、こう書いている。 『「泥の阿』は、大阪の堂島川と土佐堀川がひとつになり、安港川と名称を変えていく地点を糾合あった。昭和〕〒年の詣であるノ深く幅広く、いつも黄土色で、洩航するポンポン船のかたわらを鰹や鮒が横切っていくのんびりした川であったが、身元不明の溺死体や、まだへその緒のついた赤子の死体などが、ゆらゆらと流れてくることも珍しくなかった。 (略)数 年後、水の都から鰹や鮒は姿を消した。メタンガスのあぶくと塵埃と、ネオンの寒々とした色に覆われた汚れた運河が、私の前を流れるようになっていた。そして南の賜り場に生きる無頼の人間達の難い生温かい熱情に包まれて、私はおとなになっていったのだ。死人の回めような道頓堀川の水面に己の虚像を映しながら、私但青春の一時期を酒と煙草と賭け事でごしてしまった。」『泥の河」の子どもが『蛍川」の少年になり「道順搦川」の青年になったのだ。主人公はそれぞれの川を見ながら育ち、生きてきた。 私は店を出て、大安衛門橋まで引き返す。今は無き角座の前に、古びたビリヤードがあったような気がするが、この辺りは随分変貌しているので確かめようもない。
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受験勉強の中で目にし、非常に印象に残っているエッセイが一つ、あります。 それは、この本に収録されている「途中下車」という一編。 確か、受験問題(か予備校の演習問題)で触れた一編でした、分量としては2-3ページ程。 当時10代であった自分はその内容にものすごく感情移入し、心にしっ...
受験勉強の中で目にし、非常に印象に残っているエッセイが一つ、あります。 それは、この本に収録されている「途中下車」という一編。 確か、受験問題(か予備校の演習問題)で触れた一編でした、分量としては2-3ページ程。 当時10代であった自分はその内容にものすごく感情移入し、心にしっかりと刻み込みました。 その前後もしくは続きが読みたくて読みたくて、大学に入ってからも図書館や書店などを「途中下車」の題名をキーワードに、 当時(1990年前半)はネットなんて便利なものはありませんでしたから、必死に歩いて探した覚えがあります。 結局はそのやり方では見つからず、大学図書館で宮本さんの全集を片っ端から漁り、 そこで初めて、問題に出ていたものが全文でエッセーの一つであったこと、を知りました。 青春時代の甘酸っぱい淡い恋心、そして、その残酷さ、「今」であれば、こう表現してしまいますが、 当時は、ただ、ただ共感してました、等身大の自分と重ねていたのだと思います。 そういえば自分も、地元の国立後期試験を受けに行く途中に、ちょっとだけ道が重なった人がいました。 名前は交わさずに「頑張りましょう」との言葉を交わしただけでしたが、、元気だろうか。 なんてことを思い出しながら、久々に読み返してみました。
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