消えた子爵夫人 の商品レビュー

アン・アシュリー(著者),古沢絵里(訳者)

2009/10/04

リンフォード子爵は社交界でも異色の存在だった。その美貌と、貴族らしい洗練された遊びぶりが人気を集めたが、彼には常に暗い噂がつきまとった。というのも６年前、結婚後まもなく妻レイチェルが失踪し、いまだ行方知れずだったからだ。財産目当ての縁組みであるのは周知の事実だったため、リンフォードが１６歳のしい妻を殺したなどという醜聞も聞かれた。そんな事情で半ば再婚を諦めていた彼の前にある日突然、心から結婚したいと思う相手が現れた。エミリーという名の、出自も曖昧な若く美しい未亡人は、謎めいた魅力でリンフォードを翻弄したあげく、彼の真摯な愛の告白を冷ややかに拒絶した。だがその後、期せずしてレイチェルの居所を知ったリンフォードはある計画を立てた。愛する女性を手に入れるために。