M&A敵対的買収防衛完全マニュアル の商品レビュー
平時や有事の対応だけでなくて、運用訓練まで説明されていて、完全マニュアルというだけのことはある。付録も今すぐに使えそうなフォーマットばかりで、これ一冊で買収防衛策の検討に入れるんじゃないかと思えるくらいに充実している。 まあ、実際に買収防衛策を導入する機会はそうそうあるものでは...
平時や有事の対応だけでなくて、運用訓練まで説明されていて、完全マニュアルというだけのことはある。付録も今すぐに使えそうなフォーマットばかりで、これ一冊で買収防衛策の検討に入れるんじゃないかと思えるくらいに充実している。 まあ、実際に買収防衛策を導入する機会はそうそうあるものではないので、これだけの内容を生かす機会に恵まれることはあまりないとは思う。ただ、一通り目を通すだけでも、買収防衛の要点をつかむことができてそうした視点から市場を眺めることができそう それと、第1編の敵対的買収の歴史的考察と各国事情、第2編 日本における「敵対的買収」を考える、は敵対的買収防衛策に直接関わらない人にも十分面白い内容になっている。第1編は、敵対的買収の視点から見た証券市場小史のような内容で、ここ何十年かの証券市場の流れをざっと概観できる。一方の第2編は、会社はだれのものか、といういろいろ議論されてきた論点をコンパクトにまとめていて、これはこれでガバナンス論、所有権論の概説になっていて読み応えがある。完全な実務書ではなくて、理論的、歴史的背景も押さえた幅広さをもったマニュアルと言えると思う。
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