パラダイス・クローズド の商品レビュー
エンターテインメントらしい、メフィスト賞らしい小説。本格であり、脱本格。ライブ感で書く方のようなので、作者のノリについてこれる人向け(あと魚類・爬虫類・両生類が多少なりとも好きな人向け)かも。水棲生物の寄生は美しいが、哺乳類の妥協も悪くない。しかし「戦わなければ生き残れない」は不...
エンターテインメントらしい、メフィスト賞らしい小説。本格であり、脱本格。ライブ感で書く方のようなので、作者のノリについてこれる人向け(あと魚類・爬虫類・両生類が多少なりとも好きな人向け)かも。水棲生物の寄生は美しいが、哺乳類の妥協も悪くない。しかし「戦わなければ生き残れない」は不吉w
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魚ヲタで死神体質の兄・美樹、高校生探偵の弟・真樹は双子の兄弟。 お守りにつく高槻刑事をつれて、クローズドサークルの孤島へと向かう。 館で起こる密室殺人事件。無差別に一人また一人と殺されていく。 ここまではテンプレ。 残70ページくらいから、ミステリーへの皮肉めいた展開に化ける。...
魚ヲタで死神体質の兄・美樹、高校生探偵の弟・真樹は双子の兄弟。 お守りにつく高槻刑事をつれて、クローズドサークルの孤島へと向かう。 館で起こる密室殺人事件。無差別に一人また一人と殺されていく。 ここまではテンプレ。 残70ページくらいから、ミステリーへの皮肉めいた展開に化ける。 この本の特色はその斜に構えた態度と、サブカル臭。 あと双子と刑事以外の人物の空気度。 ミステリーの形をとっていても、思想の独白に近いかな。 共依存の双子や蝿の王のくだりあたり、かなり。
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自然は大きなデスメタルミステリー。 原稿用紙に換算しておよそ五百枚強のこの中編小説に、地球太古四十億年の物語が封じ込められていた……としたら、それは大風呂敷を広げすぎだろうか? 本編はミステリーであり、そこに設えられた舞台は密室だったり、殺人事件だったり、トリック構築だっ...
自然は大きなデスメタルミステリー。 原稿用紙に換算しておよそ五百枚強のこの中編小説に、地球太古四十億年の物語が封じ込められていた……としたら、それは大風呂敷を広げすぎだろうか? 本編はミステリーであり、そこに設えられた舞台は密室だったり、殺人事件だったり、トリック構築だったりするのだけれど。 探偵は密室を解かないし、語られるのはひたすら魚や無セキツイ動物の蘊蓄だし、それを語る男の子は死神だし、「タナトスきゅん」なんて信じられん呼び方で呼ばれてるし。 でもそこには確かに、共生という多分に利己主義的でそれゆえに透明な兄弟関係が描かれていて。 我らが「愛」なんて言葉で呼びあってる「それ」を、「その方が都合が良いから(そうしてるだけだ)」の一言で突っぱねる彼ら兄弟が、やはりそれでもどうしようもなく美しく見えてしまうのはなぜか。 多分地球四十億年の蘊蓄は、最後の参考文献に挙げられていたNHK出版の本からだろう。 また、ミトコンドリア・イヴの話はどうしても瀬名さんのパラサイトイブを思い出させる。 蘊蓄自体はだから、ネットのような手軽さで手に入れられたものばかり、なのかも知れない。違うかも知れない。 それでも。 パラダイスは、あっというまに、ちょっとした刺激や、何てことない変化によってあっさりと崩壊する。その、直前の蠢動。 まさに、本格の崩壊。 理解した上で、ひっくり返す、その手練手管。 それらをこのわずかなページ数で行ってしまったその手腕は、恐るべきものがある……かも知れない。 「本当の密室は、開かれない」と弟は言う。 「密室は開かれてこその密室である」と警察官僚は言う。 どちらだろうと。 我ら読者は、そこにある密室を眺めているだけ。 ちょうど、美樹がモナコ水槽を眺めているように。うっとりと。 それもまた、心地良き哉。
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タナトス・シリーズ1作目。登場人物にはまだ謎がありそうなので取りあえず次作読んでみよう。海洋生物に関する蘊蓄は面白かった。
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刑事さんと、美形の一卵性双生児のコンビが取り組むミステリ。 一応本格なのかしら、1巻はとりあえず密室。 談話室でオススメされたりメフィスト受賞してるので読んでみた。 双子のうちの一人が死神(THANATOS)と呼ばれてしまうくらい殺人事件遭遇率が高く、もう一人はそれをフォローす...
刑事さんと、美形の一卵性双生児のコンビが取り組むミステリ。 一応本格なのかしら、1巻はとりあえず密室。 談話室でオススメされたりメフィスト受賞してるので読んでみた。 双子のうちの一人が死神(THANATOS)と呼ばれてしまうくらい殺人事件遭遇率が高く、もう一人はそれをフォローすべくか自然に探偵役になってしまい、二人の父親(代議士)、特殊な才能(死神と探偵)という奇異な環境にある為、フォローすべく桜田門のお守り(肉体派に改造中のワトソン君)がついてる・・というラノベっぽい設定。 水族館の知識がつきそうです・・・そして思いがけず浦澤直樹、しかもマスターキートンが触れられた!り・・とか。 二巻以降に期待。
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第37回メフィスト賞受賞作品 デビュー作 そして初めまして。こるものさん。 メフィスト賞らしい作品だと思います。 デビュー作にありがちな、詰め込みすぎて最後にはなんだかよく分からなくなっちゃうのは、私はなかった。 ライトノベル風ではあるけれど、語り手が大人(固め)だからか、双子...
第37回メフィスト賞受賞作品 デビュー作 そして初めまして。こるものさん。 メフィスト賞らしい作品だと思います。 デビュー作にありがちな、詰め込みすぎて最後にはなんだかよく分からなくなっちゃうのは、私はなかった。 ライトノベル風ではあるけれど、語り手が大人(固め)だからか、双子に対するモノローグもおもしろく、共感もしやすい。 ”魚類薀蓄ミステリ”という本格ミステリ作家クラブの紹介にもあるとおり、薀蓄も確かにかなりあるけれど・・・本格ミステリって、もっと読みにくい薀蓄多いよね。 その点では意外とさらっと読めて、しかもおもしろかったので、そんな言われてるほど酷いものでもないと思う。 始めは時間がとびとびで世界観を掴むのに苦労したけれど、薀蓄が多いのであれは飽きさせないものなのかな。(半分読んでも事件どころか誰が関係者なのかもの分からないものも多いことを考えると、やはり、言うほど酷くない。) 読み終わった後に、全体に通っているキーワードを回収し納得できるところが、伏線好きの私としては好きなところかと。(そして裏の有栖川センセイの言葉の意味も!) いわゆる本格ミステリではないけれど、まとまっていておもしろい作品だったと思うので、私的には”ワンカウント”!次も読みます。
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■周囲の者が次々と殺人や事故に巻き込まれる死神体質の魚マニア・美樹と、それらを処理する探偵体質の弟・真樹。彼ら美少年双子はミステリ作家が所有する孤島の館へ向かうが、案の定、館主密室殺人に遭遇。犯人は館に集った癖のあるミステリ作家たちの中にいるのか、それとも双子の…?最強にして最凶...
■周囲の者が次々と殺人や事故に巻き込まれる死神体質の魚マニア・美樹と、それらを処理する探偵体質の弟・真樹。彼ら美少年双子はミステリ作家が所有する孤島の館へ向かうが、案の定、館主密室殺人に遭遇。犯人は館に集った癖のあるミステリ作家たちの中にいるのか、それとも双子の…?最強にして最凶の美少年双子ミステリ。第37回メフィスト賞受賞作。 ■■かなり面白かったです。本格ものなんですが、一筋縄でいかない本格物。笑えた。こんなに突っ込みの激しい語り手もいない。ミステリーでありがちな長たらしい薀蓄も、やや押さえ気味だし、文章も読みやすい。キャラそれぞれの個性もよいのですが、なによりも語り手の高槻刑事が面白すぎて好きだ。★五つじゃ、自分は足りないな。すごく好みのお話でした。
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文体があんまり…て最初思いましたが慣れました 文体じゃないところで森博嗣とか好きな人は好きかも?しれない?
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本格ミステリという定式を崩そうとしたけど、展開して複雑にしただけで数値は一緒、みたいな感じ。表紙が良い。
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タナトスシリーズ一作目。 前々から気にはしていたのですが、ちょっと設定がアレすぎて手を出すところまで踏み切れなかったのをようやく、気まぐれですが読んでみることにしました。 中学生のころの私なら間違いなくホイホイされていたに違いない……って感じで……。うん……。 ちょっと...
タナトスシリーズ一作目。 前々から気にはしていたのですが、ちょっと設定がアレすぎて手を出すところまで踏み切れなかったのをようやく、気まぐれですが読んでみることにしました。 中学生のころの私なら間違いなくホイホイされていたに違いない……って感じで……。うん……。 ちょっと文体が読みにくいのと話がわかりにくいのと厨二が目立つのはさておき、双子がかわいくて困りました。続き読んでいきたいです。
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