道元の読み方 今を生き切る哲学 『正法眼蔵』 の商品レビュー
道元禅師の『正法眼蔵』は90巻余りの大著であり、導きがなければ到底理解することのできない難解な内容である。本書は道元の足取りなどを織り込みながら、そのほんの一部について解説したものだが、「その精髄だけはすべて書き尽くした」と著者が自ら述べておられる如く、『正法眼蔵』のエキス、根幹...
道元禅師の『正法眼蔵』は90巻余りの大著であり、導きがなければ到底理解することのできない難解な内容である。本書は道元の足取りなどを織り込みながら、そのほんの一部について解説したものだが、「その精髄だけはすべて書き尽くした」と著者が自ら述べておられる如く、『正法眼蔵』のエキス、根幹となるものは十分に感じられた。 それにしても道元という人の言葉は、どうしてこんなにも澄み渡っているのだろう。氷の刃を向けられたような厳しさの中に、驚くほどの美しさ深遠さがある。『正法眼蔵』を頭で理解しようとする作業は虚しい。それほど難解であるにも関わらず、どの言葉も実は論理的で矛盾がなく、全細胞が総毛立つほどの説得力と力強さがある。 悟りとは修行の後に得られるものではなく、修行の中にある。日々のひたすらの生活、料理にも食事にも掃除にも排泄にもすべての行いの中に悟りがある。一瞬一瞬が悟りに満たされているのだ。 身心脱落、修証一如、脚下照顧、只管打坐…道元禅師が悟られ伝えようとされた世界を、その一欠けらでも感じてみたいと思う。 道元禅師の、非常に論理的で揺るぎの無い姿勢にますます惹かれてしまった。
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