読むだけイスラム史 の商品レビュー
イスラム教のおこりから、中東やアジア、アフリカの地域がイスラム化していく過程を追い、パレスチナ問題やユーゴスラヴィアなど現代まで続く問題まで解説した本。「10世紀までのイスラム世界は、ウマイヤ朝からアッバース朝の説明ですんでしまうが、10世紀以降の世界に関しては、地域や民族に分...
イスラム教のおこりから、中東やアジア、アフリカの地域がイスラム化していく過程を追い、パレスチナ問題やユーゴスラヴィアなど現代まで続く問題まで解説した本。「10世紀までのイスラム世界は、ウマイヤ朝からアッバース朝の説明ですんでしまうが、10世紀以降の世界に関しては、地域や民族に分けて横一列に並べてみた。16世紀以降は、オスマンやムガルなど強大なイスラム帝国を並べて説明した。そして、19世紀以降の、西欧列強に蹂躙されるイスラム諸国をやや細かく扱い、20世紀の諸国の独立、すなわちイスラム世界の再編成も、地域を区分しながら並べてみた。」(p.3)ということだそうだ。 高校で世界史をちゃんとやってないのであまり分からないが、確かにヨーロッパから見て、オスマン帝国が、とか「その頃インドでは…」のように周辺的な事項として扱われそうな部分を取り出して、「タテ読みで一気に」というのはいいのかもしれない。けど、結局教科書的な記述がずっと続き、時々地図が出てくるだけなので、頭に入らなかった。これもメモを取ったりしないと、なかなか難しい(少しだけやってみたけど)。世界史をやっている受験生なら「読むだけ」で理解できるものなのだろうか。 あとは興味を持った部分のメモ。まずシーア派というのは、「アリーの一派(シーア=アリー)」で、「シーアとは、もともと『派』を意味する言葉であるが、それのみが単独で使われるようになり『シーア派』が固定化した」(p.34)ということだそうだ。じゃあ派派、って言ってるのか、って思った。あと「ジブラルタル海峡」というのがあるが、あれはイベリア半島にわたったアラブ軍を率いたターリク将軍にちなんで、「ターリクの山(ジャバル=アル=ターリク)が訛ったもの」(p.35)らしい。次に「十字軍やレコンキスタでは、軍事的側面が強調される場合が多いが、この間、イスラムで研究されていた古典ギリシア・ローマの文化がヨーロッパに逆輸入された。14世紀のヨーロッパに始まるルネサンスは、この文化の流入が大前提になっている。」(p.68)ということらしい。世界史勉強している人にとっては当然のことなんだろうけど、そうか、逆輸入なのか、と思った。あとはウルドゥー語のウルドゥーという言葉の意味は、「トルコ語に由来する『陣営』。ムガル時代の『高貴な陣営の言葉』の前後が略されたもの。」(p.95)ということだそうだ。次に、「今日、ボスニアなどで起きている宗教的対立の一因」(p.106)が、オスマン帝国の「イェニチェリ軍団の補充のため、デウシルメ制度が始められた」(p.105)ことにある、という、16世紀?とかのオスマン帝国の時代に遡るというのが何とも言えない歴史の重み?を感じた。それから、スエズ運河の完成を祝って、「ヴェルディが依頼され、作曲した歌劇が『アイーダ』である」(p.135)らしい。そうなんだ。へえ。次にインドの話で、ガンディーは知っているけど、ジンナーという政治家もいて、ガンディーはジンナーと協力していたけれども「両社の立場の違いが徐々に明らかになっていった。ジンナーは議会政治を目指し、ガンディーは大衆運動を基盤にした。」(p.149)ということと、結局「ガンディーが逮捕されると、指導者を失った人々は混乱、また、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の関係も悪化した」(同)ということで、ガンディーをめぐるあまり知らなかった点というのが確認できた。キング牧師とマルコムXの対立、というのと似ている?あと「インド生まれの作家ラシュディーが著した『悪魔の詩』は、コーランをパロディー化したものとして痛烈に批判されただけでなく、1989年には、ホメイニはラシュディーの首に懸賞金をかけるという事態まで起きている。」(p.174)という、そういう本があるらしい。 という感じで、断片としては興味を持ったところもあったが、全体の流れはなかなか掴めずに終わってしまった。見かけ以上に、もっと時間をかけて読まないと、たぶんモノにするところまではいかないような気がする。(21/02/21)
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大学受験世界史の参考書だが、イスラム史をざっとおさらいするのにはいい本。受験生でなくても有益である。もちろん、大学受験参考書は社会人が基礎知識を確認するのに役立つ書が多いのは間違いないしね。
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受験用の本です。しかし、私はいままでこの本以上にイスラームにおける王朝の変遷や特徴などをわかりやすく解説した本に出会ったことはありません。イスラーム世界に関する通時的な流れを把握したい方は受験に関係なく是非一度目を通されてはいかかでしょうか
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