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恐怖の愉しみ(下) の商品レビュー

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2020/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全体的に下巻のほうが若干好みでした。幽霊譚に偏りはあるもののバリエーションも豊か。楽しめた。 W・デ・ラ・メア「失踪」 ロンドンのお店で近くの席に座った田舎の男から、聞きたくもないのに聞かされた、私的な体験の話。着地点が読めない冗長な世間話的体験談を聞かされているうち、あれ、これ怖い話なんじゃないかとふと気付くゾワっとしてくる作品。 マージョリ・ボーエン「色絵の皿」 雰囲気が抜群によく読みやすい幽霊屋敷もの。その発言繰り返してたのはそういうことだったのかというような驚きもあって上手い。色絵の皿そのものに因縁があるのかと思ったらそういうわけじゃなかったのね。 アーノルド・スミス「壁画のなかの顔」 オカルティックな雰囲気。そこでおわっちゃうのか。これから始まるんじゃないの。キリスト教世界での地獄絵だが、鬼とかそういう表現でよいのだろうか。 アーサー・キラ=クーチ「一対の手―ある老嬢の怪談―」 すごくよい。傑作。老嬢が語る若き日の体験談。住んでいた田舎屋敷で起こった不思議な出来事。美しく哀しい、ちょっとかわいい、いい話。そもそも引っ越してきての新しい生活だけでもかなり読ませるし、家政婦の行動に不審を抱く流れなど興味を惹きつけるので上手い。そして、怪異をワンポイントでここぞというところで見せるが、決して主張し過ぎない絶妙なバランス感。隅々まで完成されている。 ジェントルゴーストという言葉を初めて知った。 W・W・ジェイコブズ「徴税所」 遊びで幽霊屋敷に泊まる四人の若者を襲う悲劇。なんだかわからない感じが怖くてよいのですよね。徴税所の意味が、そのまま、命を徴収の意味でよいのかわかりにくいですが、訳について解説しているサイトを見つけて納得した。 シンシア・アスキス「角店」 これも怖くない、ほっこり、いい話のゴーストストーリー。この出会いは偶然か死者の導きによるものか。 ジェイムズ・レイヴァー「誰が呼んだ?」 スタイリッシュな怪談小品。紳士淑女らが屋敷に一泊してちょっとした体験。 ジョン・メトカーフ「二人提督」 これは難しい。何が起こっているかが読みきれてないが傑作のような感もある。ドッペルゲンガーか時間の歪みか解釈も難しい。ほのめかしが多く訳の問題がないかも含めて解説が読みたいところ。 ロバート・H・ベンスン「シャーロットの鏡」 13人の神父が奇跡の体験を語るという作品から三編を紹介。記述者である作者の体験談『わたしの話』が直接的な怪異はないが、薄ら寒い不気味さを感じさせる。 A・J・アラン「ジャーミン街奇譚」 ラジオで語られた不可思議な出来事。変わり種を一品といったところ。 アメリア・B・エドワーズ「幽霊駅馬車」 狩りで道に迷った男性がたどり着いた屋敷で、駅馬車の案内を受ける。タイトルから想像できる内容のままですが、描写が濃密でイメージ鮮やか。 メアリ・E・ウィルキンズ=フリーマン「南西の部屋」泊まる者がみな異常な体験を訴える部屋の話。気丈な女家主も泊まってみると言い出すが。

Posted byブクログ