移民大国イギリスの実験 の商品レビュー
戦前のイギリスの移民集団はユダヤ人。今日のユダヤ人の生活の原型が作られたのは19世紀から20世紀はじめ。 イギリスでは民族学校や信仰学校の認可、存続をめぐって賛否が激論する。その際主に標的となるのはムスリム系の学校をめぐってである。ムスリム系住民の意志を強固にしているのは、先輩ユ...
戦前のイギリスの移民集団はユダヤ人。今日のユダヤ人の生活の原型が作られたのは19世紀から20世紀はじめ。 イギリスでは民族学校や信仰学校の認可、存続をめぐって賛否が激論する。その際主に標的となるのはムスリム系の学校をめぐってである。ムスリム系住民の意志を強固にしているのは、先輩ユダヤ人の行動。ユダヤ人は宗教を捨てずにシナゴーグを作り、独自の学校を通して子供たちに母語を伝えてきたユダヤ人の生きざまが、ほかの移住者にもどのように影響を与えていったか。 ロンドンの移民街といえばイーストエンド。数メートルおきにモスクや中国系、バングラ系の店がある。ユダヤ人と同じ。 イギリスのムスリムではムスリム文化を持ち込んで、いまだに名誉殺人もある。移民労働者の中でも農村出身者はその国の文化にもっとも忠実な人が多い。しかもカシミールやパンジャーブの農村から呼び寄せられる花嫁たちは英語が話せない。彼女たちは夫に従属しないとイギリスでの生活が成立しない。パキスタンでもラホールやカラチのような都市部からイギリスに移民した人々は集住しないで医師やエンジニアなどの職業に就く。 難民と認められた人は最初5年間はイギリス滞在を許可される。その後定住したい人は永住申請ができる。 人の流れで見ると中国人の動きは無視できない。中国人はイギリス文化と対立しない。中国人は欧州ならどこに住んでも同じ感覚でいる。高学歴化も進んでおり、夏休みの図書館は中国人でいっぱい。 欧州全域を商売の範囲と考えてビジネス本位で移動する中国人は国家にこだわりを持っていない。「中国人こそ最良のヨーロッパ人」(Benton & Pieke The Chinese in Europe)
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