古代ギリシアの同性愛 の商品レビュー
とてもおもしろかった。原著が古代ギリシアの同性愛について、本当の意味での「研究」の出発点と言えるようなもの。プラトーンやサッポー、スパルタなどの有名な例はあえて重要視せず、主として同性愛的売春裁判の弁論記録や大量の壺絵資料などから、当時のギリシア人の価値観を探っていく。 壺絵など...
とてもおもしろかった。原著が古代ギリシアの同性愛について、本当の意味での「研究」の出発点と言えるようなもの。プラトーンやサッポー、スパルタなどの有名な例はあえて重要視せず、主として同性愛的売春裁判の弁論記録や大量の壺絵資料などから、当時のギリシア人の価値観を探っていく。 壺絵などの絵画資料は本にもかなりの量が載せてあるけれど、本文で言及している量からすれば本の少しだし、いちいち巻頭ページから探さなくてはならない(のでほとんど諦めた)のはもったいない点。電誌化して読んでいたこともあって、こういうときにワンタッチで該当の絵が表示できたら、と思ったり。 Dover の研究含め、最近明らかになってきた古代ギリシアの同性愛の実態については、光文社古典新訳文庫の『饗宴』解説に簡単にまとめられているので、専門的に知りたいわけでなければ、それを読むのがお手軽だと思う。
Posted by
- 1