食育のススメ の商品レビュー
村井弦斎が書いた明治のベストセラー小説「食道楽」についての紹介及び解説をした本である。 「食道楽」という本は、小説という形をとってはいるが、お話を通して当時の人々に対して、食への興味関心を持ってもらい、それによって食生活の改善を図るということに主眼が置かれたものである。つまり、明...
村井弦斎が書いた明治のベストセラー小説「食道楽」についての紹介及び解説をした本である。 「食道楽」という本は、小説という形をとってはいるが、お話を通して当時の人々に対して、食への興味関心を持ってもらい、それによって食生活の改善を図るということに主眼が置かれたものである。つまり、明治期に書かれた食育本である。ストーリに絡ませて食を説くという形式は、非常に読んでいて分かりやすく楽しいし、さらに実用的であるということからその価値は高い。実際、食道楽はただの小説というだけではなく、実用書的扱いもされていたようである。食道楽は食への啓蒙的内容であるから、現代人にとっても耳に痛い内容が多数。 本書は、食道楽の内容を紹介し、その背景にある明治期の人々の様子も分かりやすく解説している。明治時代の食文化がよく理解できる非常に興味深い良書である。
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「食育のススメ」とあるので、現代のことを取り上げているのかと思ったら、何と村井弦斎の「食道楽」を紹介する本だったとは! 岩波文庫に入っている「食道楽」は、ずいぶん前に買って、いまだに積読状態。 これを「しょくどうらく」と読むのだということも、本書から知った。 「食道楽」を紹介し...
「食育のススメ」とあるので、現代のことを取り上げているのかと思ったら、何と村井弦斎の「食道楽」を紹介する本だったとは! 岩波文庫に入っている「食道楽」は、ずいぶん前に買って、いまだに積読状態。 これを「しょくどうらく」と読むのだということも、本書から知った。 「食道楽」を紹介しつつ、弦斎の実人生や、当時の時代状況にも解説が加えられていく。 大隈重信邸の台所の様子などは、興味深い。 筆者の関心は、「食道楽」が現代社会にも通用する先進性を持っていたことを解き明かすことにあるようだ。 先進性はともかく、家庭小説的な道徳主義に私は若干食傷気味になるのだけれど…。 一世を風靡したこの小説があっという間に廃れた事情を、黒岩さんは日露戦争の開戦による世の中の空気が一変したことに見ている。 平成の私たちも、震災で空気が一変したことを覚えている。 なにかちょっと切ない気分になった。
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明治のベストセラーグルメ小説「食道楽」の解説書。当時の台所事情、食事事情、食の薀蓄、また著者村井弦斎(かなりの愛妻家)の先進的な食育論、家庭論が展開されている。 歴史小説や映画ではなかなか見えない、当時の食を巡る背景は面白い◎ 今でこそ食材調達も鮮度管理も調理器具もガス水道も整っ...
明治のベストセラーグルメ小説「食道楽」の解説書。当時の台所事情、食事事情、食の薀蓄、また著者村井弦斎(かなりの愛妻家)の先進的な食育論、家庭論が展開されている。 歴史小説や映画ではなかなか見えない、当時の食を巡る背景は面白い◎ 今でこそ食材調達も鮮度管理も調理器具もガス水道も整っているものの、明治初期に手の込んだ家庭料理を楽しむことはなんて大変なことだったのか。 因みに庶民の一ヶ月の生活費が一月30円程度の時代に岩崎弥太郎邸では食費だけで8万円、台所は今でいう3LDK住宅もの広さだったそうな。 おったまげ。
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岩波書店から上梓されている「『食道楽』の人 村井弦斎」の厚い本には感動したっけ。著者のじっくりと腰を据えた探究心は敬服に価する。しかし「食育」テーマは弦斎の一部分、読みやすいけれどなんだか物足りなさが残る。
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