この人この世界 8・9月 の商品レビュー
(2007.10.31読了)(2007.07.26購入) 「虫の目になりたい」という表題です。 昆虫写真家の栗林慧さんがNHK教育テレビで、昆虫の写真を撮るためにカメラに工夫を重ねてきた軌跡を語ったときのテキストです。 通常、写真家は、出来合いのカメラで被写体を撮るわけですが、...
(2007.10.31読了)(2007.07.26購入) 「虫の目になりたい」という表題です。 昆虫写真家の栗林慧さんがNHK教育テレビで、昆虫の写真を撮るためにカメラに工夫を重ねてきた軌跡を語ったときのテキストです。 通常、写真家は、出来合いのカメラで被写体を撮るわけですが、栗林さんの場合は、カメラ作りから始まります。 昆虫を昆虫の目線で取るカメラ。飛んでいる昆虫を静止した状態で捕らえるカメラ。人工の環境の昆虫ではなく、自然の状態の昆虫を捕らえる工夫。昆虫を撮るための工夫がいっぱいです。 珍しい昆虫の生態も幾つか述べられています。 ●栗林さんの夢(7頁) 「昆虫が見ている世界を、昆虫の目になってそのまま表現することができたら、どんなに楽しく、すばらしいことだろう」 ●アリとハチ(92頁) アリはハチから進化したと考えられています。空中を飛び回るハチが、地上に巣を作るようになって羽を捨てたのがアリなのです。 ●昆虫が空中を飛んでいるときの羽の動きは?(96頁) 羽ばたいている昆虫を羽が静止した状態で捕らえたいと思った栗林さんは、光センサーと高速シャッターとストロボを組み合わせて、実現することができました。 撮影した写真を展示して見せたところ、航空工学の専門家やイラストレーターが関心を示してくれました。 イラストレーターの方は「これまで僕は、昆虫が飛んでいる姿を想像で描いていました。今回、展示された作品を見て、想像と違うことが判りました。今まで僕は嘘を描いていたわけです」といっていました。 同じ写真機で、カタバミの熟した実が破裂するところを撮影してみたら、スピードが速すぎて写し止めることができませんでした。 シャッタースピードをさらに上げ、ストロボの閃光時間を短縮することで、可能になりました。(たいした執念です。) 栗林さんの捕らえた映像は、NHKテレビ等で放映されますので、見たことのある方もいると思います。実に独特の映像です。 著者 栗林慧 1939年 旧満州(現在の瀋陽)に生まれる 1969年 写真家として独立 2000年 「草間の宇宙」で内閣総理大臣賞を受賞 2006年 レナート・ニルソン賞を受賞 生態写真家 (2007年11月7日・記)
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TVのホタルの会の再放送をたまたま観て気になった。読み物として充分面白い。写真がモノクロだと分かりにくいので、カラーでもっと見たいなあ。
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