山医者がんばる の商品レビュー

見川鯛山(著者)

2017/11/16

イギリスの獣医さんの話「ヘリオット先生シリーズ」にちょっと似てます。著者自身が主人公で、医者と獣医の違いは有りますが、那須高原(ヨークシャの荒原)に住んで、その実体験を元にした、素朴な住民との交流を主体にしたショートショート集です。
大きな違いは主人公の位置付けです。ヘリオット先生が獣医という矜持を持ちつつ住民に接しているのに対し、見川センセは住民と全く同化。ジッチャン・バッチャン・センセでやりあう世界です。そういう意味で見れば、ヘリオット先生の方が格調が高く、見川センセはとても土俗的です。
また、下ネタというか、土俗的な性を主題に取り上げる事が多いのも特徴です。これは通常カラッとした扱いで哄笑を呼びますが、時に非常に陰惨な、救いようのない物語になることも有ります。
とはいえ、全体としてはヘリオット先生同様、著者の暖かさ、やさしさが伝わってくる逸品だと思います。