アンダーリポート の商品レビュー
隣人が殺された未解決事件を15年後、主人公である43歳の男性が過去を振り返り、その当時踏み出せなかった一歩を踏み出そうとする。その事件は誰にとってのパンドラの箱だったのか、その箱の蓋を開けて困るのは誰か…。 話は非日常的であるにも拘わらず、物語は静かに始まり淡々と進んでいく。 ...
隣人が殺された未解決事件を15年後、主人公である43歳の男性が過去を振り返り、その当時踏み出せなかった一歩を踏み出そうとする。その事件は誰にとってのパンドラの箱だったのか、その箱の蓋を開けて困るのは誰か…。 話は非日常的であるにも拘わらず、物語は静かに始まり淡々と進んでいく。 第一章はとても読みにくい。例えるなら喫茶店に座っていて、ずっと聞こえていたはずの会話から気になる単語が耳に飛び込んできて突如その会話が気になりだす。耳をそばだてても話の途中からなので、話の流れがつかめない、そんなもどかしさがこの第一章にある。 第二章に至っては『彼女』と『女』と二人の女が出てくる。 主人公を一人称としているのかと思えば 三人称であったり 誰の目線なのか私の読解力でははっきりしない。 第三章からは難なく普通に読み進める。 そして最終章を読み終えたとき、話は第一章へと繋がり、読みこなせなかった第一章を再び読むとそれはスムーズに自分の内へと入っていった。 気になったこと 主人公が15年前 26歳の時も中年の様な性格で書かれていたこと。 殺された男性の妻が再婚した相手の職業がなぜ警察官だったのか。物語上全く警察官である必要がないと思われるのに 一般的な会社員でなく敢えて警察官にした訳。 わっかんねぇ~なぁ~ それから主人公が付き合っていた女性のその叔母さんの格言 「セックスが終わった後、鼾をかいて寝てしまう男はだめ!」 ↑世の男性諸君 しかと肝に銘じよ ♡
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★質感は変わらず。テーマにやや興が冷める★ふと気付いたのだが、佐藤正午の小説の肌触りが好きなのは、主人公の男性の体温が低いからなのだろう。この小説の検察事務官の古堀はもちろん、「5」の小説家の津田も破天荒のようでいて自分のことを客観的に見て冷めている。 平凡だと自ら認める主人公...
★質感は変わらず。テーマにやや興が冷める★ふと気付いたのだが、佐藤正午の小説の肌触りが好きなのは、主人公の男性の体温が低いからなのだろう。この小説の検察事務官の古堀はもちろん、「5」の小説家の津田も破天荒のようでいて自分のことを客観的に見て冷めている。 平凡だと自ら認める主人公の男性と、それを取り巻く女たち。意図的にずらした会話や女性の造形が絶妙で、それぞれが輪郭をもって浮かび上がる。「血のめぐりが悪い」という主人公の描写は、言葉の選択が素晴らしい。さらに秀逸なのは15年後に会った女たちの変化の様子の描き方だろう。官舎の知り合いと日中からスポーツを楽しむ、などという平凡かつ明るいエピソードはどこからひねりだすのだろうか。ただし、交換殺人というテーマが表れた後半は、謎めきが途端に薄れてしまい、小説の世界に浸りにくくなる。ストーリーより文章の空気に親しむべき小説なのかもしれないが。
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それでも彼は確かめずにはいられなかったんだろう。そういうことが時に生きているとあるのだ。 しかしその後で彼は救われたのだろうか。 はたして私たちは救われるのだろうか。選択しない者の前には恐らくなにひとつの答えも出ないのだろう。
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サーキュレーション。物語が円環構造になっているのがおもしろいと思った。構成がすばらしい。林檎をのせたトーストの話を別のところでも読んだ気がしたけれど、気のせいかしら。そして今回もヤハリ競輪場ではなかったものの競艇場がチラリと出てきて、ああまたしてもと思いました。それにしても、主人...
サーキュレーション。物語が円環構造になっているのがおもしろいと思った。構成がすばらしい。林檎をのせたトーストの話を別のところでも読んだ気がしたけれど、気のせいかしら。そして今回もヤハリ競輪場ではなかったものの競艇場がチラリと出てきて、ああまたしてもと思いました。それにしても、主人公の男は女性をイライラさせる「血の巡りのわるい」タイプだなあとつくづく思った。
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最後のページを読み終わった段階で、本書はまだ90%しか完成されていない 冒頭に戻りドアを開き中へ入っていかなければ佐藤正午の世界は完結せぬのです
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出だしでは、もっとハードボイルドな人が主人公かな?と思ったのですが、あまりカッコよくない男でした。情けないです。腹立たしくもあります。でも憎めません。そして、皆さんがおっしゃっているように非常に不思議な感じで物語が進行していきます。現実にありえないボワーッとした夢の中のような話で...
出だしでは、もっとハードボイルドな人が主人公かな?と思ったのですが、あまりカッコよくない男でした。情けないです。腹立たしくもあります。でも憎めません。そして、皆さんがおっしゃっているように非常に不思議な感じで物語が進行していきます。現実にありえないボワーッとした夢の中のような話です。そして登場する女性はみんな怖いと思いました。佐藤さんの本では「Y」につぐかな、「永遠の1/2」とどっこいかも。
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交換殺人の話。15年前の記憶をたどり始める私。一つ一つの言葉が練られ、私の苦しみ、過去へと回顧していく。
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なんか すっごく 寂しい人 が 主人公の話だった。他人とのつながりが希薄な人が 過去の人とのつながりを 懐かしんでいるような。
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ストーリーの骨格はまずまずだと思うけど、間延びしすぎ。こんだけ引き延ばすからには、まだ何かあっと言わせるような展開が??と思って読み続けたら、なぁんだ、そのまま終わるんかい?ってな感じだった。
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他人の秘密を暴き立てたらその重さと同じだけのものを自分も背負うことになる。 秘密を共有することによって安泰ではない人生に足を踏み入れる事になるのだ。 15年前に起きた事件の背景を今さら調べたところでどうにもならないのに何がそうさせるのだろう。 登場人物の言い回しが、まどろっこしく...
他人の秘密を暴き立てたらその重さと同じだけのものを自分も背負うことになる。 秘密を共有することによって安泰ではない人生に足を踏み入れる事になるのだ。 15年前に起きた事件の背景を今さら調べたところでどうにもならないのに何がそうさせるのだろう。 登場人物の言い回しが、まどろっこしく理屈っぽく、それが性格によるものなのかわからないが読んでいて疲れてしまうのが残念。
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