鹿野政直思想史論集(第2巻) の商品レビュー
本書のタイトルになっている「負荷されることの違和」の意味について、『(女性にたいする抑圧の構造とそれが持つ)拘束性は、逃れがたく身体の深部にまで達しているという意味で生理生を帯びていることを形容する』ことばである、と著者は説明しています。 女性が抑圧されてきた歴史を、最初の論考...
本書のタイトルになっている「負荷されることの違和」の意味について、『(女性にたいする抑圧の構造とそれが持つ)拘束性は、逃れがたく身体の深部にまで達しているという意味で生理生を帯びていることを形容する』ことばである、と著者は説明しています。 女性が抑圧されてきた歴史を、最初の論考では「家」に求めます。「家」は著者にとって離れられない課題だったと言い、珍しく著者自身の生い立ちについて記しています。 2番目の論考では、ウーマン・リブを含む女性解放の運動の歴史に触れます。 最後の論考では女性解放や女性学の運動と発展に尽力した6名の方について、その足跡と思想を紹介しています。その一人の市川房枝さんについての文章の最後で、著者はこう書きます。 『無権利者は、本来、体制への責任を分担しないにもかかわらず、まさに無権利であるがゆえをもって(中略)往々にして既存の体制の改変をではなく、それへの無限の接近という結果をもたらす。』 反体制/反権力の運動のひとつの難しさを改めて知りました。 多くの参考文献が上げられています。さらにこれらを読んでみようと思います。
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